仮説
仮説1:サークル・部活に所属している人は,世代交代前から世代交代後にかけて,自尊感情が高くなることが予想される。
豊田・松本(2004)は,過去および現在の大学生活での友人関係が大学生の自尊心と関連していることを明らかにしている。大学では,常に一緒に過ごす友人が同じわけではなく,特に一緒にいるといっても学科が同じ友人くらいであるため,そのような環境下でサークル・部活といったメンバーが固定される集団に所属することは,自尊感情の上昇に影響を与えると予想する。
仮説2:役割がある人は,世代交代前から世代交代後にかけて,自尊感情が高くなることが予想される。
役割を与えられることによって,「他者から必要とされている」と感じられるため,「他者から必要とされている存在である,自分自身を価値ある存在としてとらえる気持ち」である自尊感情は高まると予想する。
仮説3:他者志向的動機が高く,世代交代を経て役割がある人は,役割がない人に比べて世代交代前から世代交代後にかけて,自尊感情が高くなることが予想される。
これは、役割を与えられることによって,自分の存在を必要とされていると感じられるためである。
仮説4:他者志向的動機が低く,世代交代を経て役割がある人は,役割がない人に比べて世代交代前から世代交代後にかけて,自尊感情が高くなることが予想される。ただし,他者志向的動機が高い人よりも上昇の幅は小さくなるだろう。
これは,役割を与えられることによって,「他人から自分は必要とされている人間である」と感じ,自分自身の価値を感じられるためである。
仮説5:「意欲」が高く,世代交代を経て役割がある人は世代交代前から世代交代後にかけて,自尊感情が高くなることが予想される。
役割を与えられることによって,「他人から自分は必要とされている人間である」と感じ,自分自身の価値を感じられるためである。
仮説6:「やる気」が高く,世代交代を経て役割がある人は,世代交代前から世代交代後にかけて,自尊感情が高くなることが予想される。
役割を与えられることによって,「他人から自分は必要とされている人間である」と感じ,自分自身の価値を感じられるためである。
仮説7:「負けん気」が高く,世代交代を経て役割がない人は,世代交代前から世代交代後にかけて,自尊感情が低くなることが予想される。
もともと負けん気の高い人物が自分以外の他者に役割を与えられ,自分が役割を与えられなかった場合,「自分には価値がない」と感じ,自尊感情が低下すると予想する。
仮説8:幹部系の役割,特に代表の役割を与えられた人は,世代交代前から世代交代後にかけて,自尊感情が高くなることが予想される。
代表になるということは,その集団のトップとしての役割を担い,その集団の中心の人物となるため,多くの人からの信頼や期待がなければ,その役割を与えられることはない。そのため,「自分には価値がある」と感じることができ,自尊感情が高くなると予想する。