【考察】
1.フローパーソナリティについて
1-5.パーソナリティとフローについて
1-5-1.パーソナリティとフロー経験の質について
パーソナリティとフロー体験時の経験のしやすさについて関係を明らかにするため,まず身体的フロー頻度,社交的フロー頻度とそれぞれの活動での経験の質についてPearsonの積率相関係数を算出した(Table24参照)。その後,パーソナリティによって,活動での経験に違いがあるのかを明らかにするために二要因分散分析を行った(Table25-27参照)。
1-5-1-1.活動種による熱中頻度と経験の質の関連について
身体的フロー頻度と身体的活動での没入経験(K没入),身体的活動での自信経験(K自信),身体的活動での挑戦経験(K挑戦)の間に正の相関が見られた。一方で,社交的フロー頻度や社交的活動と経験の質とは相関が見られなかったことから,身体的フロー頻度が高い人は社交的活動でのフロー経験とは関連が見られないことが明らかとなった。身体的フロー頻度と社交的フロー頻度に関連が見られなかったことは,Csikszentmihalyi & Graef(1975a)の身体的活動と社交的活動は相互に排除し合っているという研究結果と一致している。
しかし,社交的フロー頻度においては,社交的活動での没入経験(S没入),社交的活動での自信経験(S自信),社交的での挑戦経験(S挑戦)の他にも,身体的活動での自信経験と身体的活動での挑戦経験にも正の相関が見られた。これは,Csikszentmihalyi & Graef(1975a)の研究結果と一致していない。その原因として,質問紙での回答の際に,それぞれの活動種で具体的に一つ活動を想定して回答を求めたことに関係があるだろう。身体的活動の想定は1人で体を動かすことを想定している人が多かったの対し,社交的活動の想定では他者との活動という点に着目し,部活動やアルバイトなども含まれており,身体的活動とも呼べる活動での想定も複数見られた。そのため,社交的フロー頻度と身体的活動での自信経験や身体的活動での挑戦経験との相関が見られたと考えられる。
また,身体的フロー頻度,社交的フロー頻度ともに,それぞれの活動での経験の質と相関が見られたことは,奥上ら(2013)の調査結果であるフロー頻度とフロー体験の経験の質と相関が見られたことと一致している。そして,身体的活動で熱中しやすい人は身体的活動での経験の質が高く,社交的活動で熱中しやすい人は社交的活動での経験の質が高いことも明らかとなった。
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