方法
本研究では津市の伝統ある津観音に続く大門商店街の景観に焦点をあて視覚による景観印象の違いを検討する.
1.調査対象
2020年12月に,一般回答が90名(男性名,女性名,年齢34.22歳,SD=12.84),大門関係者12名(男性名,女性名,年齢32.66歳,SD=12.12),にウェブアンケート調査を行った.
2.調査時期
2020年12月上旬~中旬
3.手続き
インターネットを利用した調査法を用いた. 質問フォーム回答の依頼書をメールなどで送信し, 調査協力を依頼した. 調査は, Googleフォームを用いて行った. URLから質問フォームを開いて回答して貰った.
1枚の写真につき12項目を回答させた.8枚の写真にそれぞれこの作業を繰り返し行った.
4.質問紙の構成
4.1.フェイスシート
説明項目への同意, 年齢, 性別を尋ねた.
4.2.大門商店街について
大門商店街の見聞があるかを尋ねた.
4.3.にぎやか尺度
にぎやか尺度について,長・原口(2014)の絵画を評定する尺度から明るさ因子の項目を用いて「暗いー明るい」,「さみしいーにぎやかな」,「冷たいー暖かい」,「陰気なー陽気な」,「しずかなーうるさい」,「地味なー派手な」の6項目7件法で8枚の画像に対してそれぞれ尋ねた.
4.4. 伝統性尺度
伝統性尺度について,文沢(1971)のSD尺度から伝統性因子の項目を用いて「神秘的でないー神秘的な」,「落ち着きのないー落ち着きのある」,「うるわしくないーうるわしい」,「上品でないー上品な」,「伝統的でないー伝統的な」,「醜いー美しい」の6項目7件法で8枚の画像に対してそれぞれ尋ねた.
4.5. ノスタルジア傾向
ノスタルジア傾向について,長嶺・外山(2019)の特性nostalgiaを測定する尺度であるSouthampton Nostalgia Scaleの日本語版を用いて「あなたは,どのくらいの頻度でノスタルジアを経験しますか?」,「あなたはどのくらい,ノスタルジックな気持ちになりがちですか?」,「一般的に,あなたはどのくらいの頻度でノスタルジックな経験を思い出しますか?」,「具体的に,あなたはどのくらいの頻度でノスタルジックな経験を思い出しますか?」,「ノスタルジックな経験を思い出すことは,あなたにとってどのくらい重要ですか?」の5項目7件法を尋ねた.
5.使用画像
5.1無加工
大門商店街を二方向から撮影した写真をそのまま使用した.
5.2茶色
大門商店街を二方向から撮影した写真を,建物の外壁を茶色に塗り変えた写真を作成し,使用した.
5.3暗い茶色
大門商店街を二方向から撮影した写真を,建物の外壁を2の茶色から津市景観計画に沿って明度・彩度を落とした茶色で塗り替えた写真を作成し,使用した.
本研究では明度・彩度を落とした茶色で作成した写真を「暗い茶色」とする.
5.4観音風
大門商店街を二方向から撮影した写真を,建物の外壁を朱色で津観音に模した写真を作成し,使用した.
本研究では朱色を使って作成した写真を「観音風」とする.
5.5これらの色を選出した理由
無加工は現在の大門商店街の色であり,現在の評価を知るためにそのまま用いた.
暗い茶色は津市景観計画に沿った色で構成されており,大門商店街にも当てはまるのかを調査する.茶色はその逆であり,津市景観計画に沿わない茶色と津市景観計画に沿った色とを比較するために選出した.観音風は大門商店街のシンボルである津観音に着目し,津観音の色で統一した時の評価を知るために選出した.