結果
回答に不備の無かったものを有効回答とし,有効回答者計182名分(男性:61名,女性:117名,回答しない:4名)のデータを分析対象者とした。調査対象者の平均年齢は19.8歳,標準偏差は1.59であった。
1. 各尺度項目の因子分析と信頼性係数
仮想的有能感尺度について,本研究で扱った11項目が先行研究で確認されている1因子構造となることを確かめるために,HADによる確認的因子分析を行った(Table 1)。その結果,モデル適合度がCFI=.893,RMSEA=.072であった。CFIの指標は.900を超えることが望ましいとされているが,これら11項目は項目内容の観点からも必要であると判断したため,11項目すべてを採用し,先行研究の因子構造を採用した。
教師認知尺度について,本研究で扱った14項目が先行研究で確認されている3因子構造となることを確かめるために,HADによる確認的因子分析を行った(Table 2)。その結果,モデル適合度がCFI=.922,RMSEA=.070と十分な値であったため,先行研究の尺度通りに「受容・親近」「怖さ」「自信・客観」の3つの因子を用いて研究を進めた。
学業的援助要請尺度について,本研究で扱った11項目が先行研究で確認されている3因子構造となることを確かめるために,HADによる確認的因子分析を行った(Table 3)。その結果,モデル適合度がCFI=.878,RMSEA=.098であった。これら11項目は項目内容の観点からも必要であると判断したため,11項目すべてを採用し,先行研究の因子構造を採用し,先行研究の尺度の通りに「適応的要請」「依存的要請」「要請回避」の3つの因子を用いて研究を進めた。
生徒の教師に対する信頼尺度について,本研究で扱った30項目が先行研究で確認されている3因子構造となることを確かめるために,HADによる確認的因子分析を行った(Table 4)。しかし,CFI=.808,RMSEA=.078とモデル適合度が低かったため、Amosを用い,修正指数を参考にモデルの修正を行った。その結果,CFI=.904,RMSEA=.057となり十分な値であったため,このモデルを採用した。
各尺度の下位尺度ごとに尺度構成を行い,Cronbachのα係数を求めた(Table 5)。その結果,十分な信頼性を得られたと判断し,分析を進めた。
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