方法


1.調査対象 大学生80名を対象に,質問紙調査を実施した。回答のうち,不備のある者を除き,すべての実験に参加した計43名(男性15名,女性28名)を分析対象とした。 2.調査時期 2021年11月中旬~11月下旬 3.手続き 質問紙による調査を行った。プログラム実施前にSNS上で回答者を募集し,回収した。SNS上でプログラムを5日間行い,プログラム実施後,再度SNSで調査を行い,回収した。 4.質問紙の構成 質問紙は3つの尺度とブリーフセラピーを用いたプログラムによって構成された。また,フェイスシートで学部,学年,学籍番号の下4桁,性別について尋ね,本研究の調査に協力することへの同意を求めた。

4-1.HSPに関する項目 ブリーフセラピーを用いたプログラムの実施前に個人のパーソナリティを測定するために,Aron & Aron(1997)によって作成されたHSPSを高橋(2016)が日本語に翻訳したHighly Sensitive Person Scale 日本語版尺度(HSPS-J19)を用いた。本尺度は「低感覚閾」「易興奮性」「美的感受性」の3下位尺度で構成され,あなたに最もあてはまるものを選んでください」という教示文を示し,回答を求めた。全19項目について,回答者がどの程度あてはまるか「全くあてはまらない」から「非常にあてはまる」の7件法で測定した。

4-2.自己効力感に関する項目 ブリーフセラピーを用いたプログラム実施前と実施後で自己効力感が向上しているかを測定するために,日常生活の様々な状況における個人の一般性セルフ・エフィカシーの強さを測定する坂野・東條(1986)の一般性セルフ・エフィカシー尺度を用いた。「次の項目について最もあてはまるものを選んでください」という教示文を示し,回答を求めた。本尺度の本尺度は「行動の積極性」「失敗に対する不安」「能力の社会的位置づけ」の3下位尺度から構成されており,全15項目について,回答者がどの程度あてはまるのか「全くあてはまらない」から「非常にあてはまる」の7件法で測定した。

4-3.抑うつに関する項目 CES-D(The Center for Epidemiologic Studies for Depression Scale)の因子構造をもとに,蒲原・岡田・志渡(2009)によって作成されたうつ尺度CES-D簡易版を用いた。「次の項目を読み,最近1週間の気持ちを最もよく表しているものを選んでください」という教示文を示し,回答を求めた。本尺度は「抑うつ感」「不安症状」「孤立感」「満足感」の4下位尺度から構成されており,全20項目について「たいていまたはいつもある(5~7日)」から「めったにまたは全くない(1日未満)」の4件法で測定した。

4-4.ブリーフセラピーを用いたプログラム 伊藤(2014)によるブリーフセラピーを用いる際の注意点を参考にし,個人が解決志向的な気持ちの整理をするためのブリーフセラピーを用いたプログラムを作成した。まず個人に対して他者の協力や助けを振り返ることができるように,1日を振り返り助けてくれた人や楽しませてくれた人がいたかどうかを質問した。いた場合はそれがどんな人か回答を求め,複数人いる場合はすべて記述するよう求めた。 1日の出来事を振り返って記述する項目では,1日のうちに大変なことや困ったこと,いやなことがあったかを質問した。回答者が自らと向き合い1日を振り返ることができるよう,例を挙げず質問項目のみ表示した。大変なことや困ったこと,いやなことがあったと答えた場合は,それがどんなことかを具体的に回答させた。またその出来事について,どのくらい大変,困った,いやな気持ちを強く感じたか1~10の数字を選択するよう求めた。またネガティブな体験を乗り越えた個人を認めるため,その大変なことや困ったこと,いやだったことをどのように乗り切ったか回答を求めた。最後に,大変なことや困ったこと,いやなことを乗りきったあなた自身に向けてあたたかい言葉を送りましょう」という教示文を示し,自由に記述するよう求めた。 ブリーフセラピーを用いたプログラムを行うにあたり,「日々のストレスや良かったことなどを記録する気持ちで,深く考えたり,考えなおしたりしないで,最初に思いついたとおりに書いてください。」という教示文を示し,回答を求めた。