結果
1.各下位尺度の記述統計量
各下位尺度の記述統計量をTable3,4に示す。
2.各尺度の因子分析及び信頼性分析
2-1.友人関係尺度の因子分析及び信頼性分析
まず,対面状況の友人を対象とした同調性尺度と心理的距離尺度をもとに構成した友人関係尺度において最小残差法・プロマックス回転による探索的因子分析を行った。その結果,2因子が抽出され両因子に.35以上で負荷した項目,独自性が.978でどちらの因子にも負荷しなかった2項目を除外し,再度,最小残差法・プロマックス回転による探索的因子分析を行った。その結果2因子が抽出され,回転後の最終的な因子パターンをTable5に示す。第1因子は,友人への同調の程度を表す項目群であったため「同調性」と命名した。これは石本他(2009)の同調性尺度と一致した。第1因子のα係数及びω係数を算出した結果,α=.757,ω=.764と十分な値がみられた。第2因子は友人との間にどのくらい心理的面でのつながりを感じているかについて表す項目群であったため「心理的距離」と命名した。第2因子の項目は,金子(1989)の心理的距離尺度の構成と一致し,α係数及びω係数を算出した結果,α=.763,ω=.791と十分な値がみられた(Table5)。
次に,SNS上の友人を対象とした友人関係尺度において,各項目の平均値と標準偏差を算出し,対面状況の友人を対象とした友人関係尺度の因子構造をもとに,確認的因子分析を行った。その結果,CFI=.907,SRMR=.085,RMSEA=.128と十分な値であった。α係数及びω係数を算出した結果,第1因子「同調性」はα=.825,ω=.826,第2因子「心理的距離」はα=.670,ω=.702と十分な値がみられた(Table6)。
また,「同調性」「心理的距離」の各項目の平均値・標準偏差を対面状況の友人対象とSNS上の友人対象で算出した(Table7,8)。
2-2.自己開示尺度
対面状況の友人,SNS上の友人それぞれに対する自己開示の内面性や量を測定するため,嶋田・佐藤(1999)の自己開示尺度をもとに,丹羽・丸野(2010)の自己開示の深さを測定する尺度のレベルT趣味を追加した尺度を用いた。嶋田・佐藤(1999)によって各下位尺度に内面性の高さ,開示のされやすさが定義されているため,「人生・生きがい」「家族・生活」「人間関係」「社会的話題」の4因子構造とし,中学生にそぐわない項目,因子負荷量の小さい項目を削除した。また,内面性が低く最も開示されやすいとされる「社会的話題」の項目数が極端に少なかったため,丹羽・丸野(2010)の自己開示の深さを測定する尺度の下位尺度のうち最も表面的で誰に対しても開示されやすいレベルT「趣味」から中学生が話題に挙げやすいと考えられる項目を追加した。
次に,SNS上の友人を対象とした友人関係尺度において,各項目の平均値と標準偏差を算出し,対面状況の友人を対象とした友人関係尺度の因子構造をもとに,確認的因子分析を行った。その結果,CFI=.907,SRMR=.085,RMSEA=.128と十分な値であった。α係数及びω係数を算出した結果,第1因子「同調性」はα=.825,ω=.826,第2因子「心理的距離」はα=.670,ω=.702と十分な値がみられた(Table6)。
各項目の平均値・標準偏差を対面状況の友人対象とSNS上の友人対象で算出し,各下位尺度で,α係数及びω係数を算出した。第1因子「人生・生きがい」は4項目で構成され,対面状況の友人対象においてはα=.792,ω=.794,SNS上の友人対象においてはα=.702,ω=.713と十分な値が得られた。第2因子「家族・生活」は対面状況の友人対象においてα=.830,ω=.834,SNS上の友人対象ではα=.858 ω=.862,第3因子「人間関係」は対面状況の友人対象においてα=.757,ω=.770,SNS上の友人対象においてα=.752 ω=.757,第4因子「社会的話題」は対面状況の友人対象においてα=.783 ω=.789,SNS上の友人対象においてα=.773,ω=.782であった(Table9,10)。
2-3.孤独感尺度
中学生の日常生活における孤独感を測定するために有本・田(2019)の日本語版 Short-form UCLA 孤独感尺度(第3版)10項目版を用いた。因子構造は有本・田(2019)のものに倣い1因子構造とした。まず各項目の平均値と標準偏差を算出し,α係数及びω係数を求めた結果,α=.784,ω=.786と十分な値が得られた(Table11)。
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