要旨


 本研究では,個人の特性として「援助要請スタイル」を用いて,個人の持つ個人が自身で問題を抱え一人では解決できない時に助けを求める際の特性と,参考にする販売員の声掛けの違いについて検討することを主な目的とした。また,ファッションに関心が高いとされる大学生に着目し,大学生の着装基準を用いて参考にする販売員の声掛けとの関連について合わせて検討した。

 本研究において,本研究では大学生を対象に,webで質問紙調査を行った。質問紙調査では,援助要請スタイル,着装基準,参考にする販売員の声掛けを尋ねた。援助要請スタイルについては,永井(2013)によって作成された援助要請スタイル尺度を使用した。着装基準は,松原(2015)の着装基準尺度を使用した。販売員の声掛けについては,大枝,高岡,佐藤(2009)によって作成された販売員の声掛け尺度のうち,大学生に適しているとされる項目15項目を抜粋し使用した。 以上により,援助要請スタイルが参考にする販売員の声掛けに与える影響,着装基準が販売員の声掛けに与える影響について検討を行った。

 この調査結果より,援助要請過剰型の人は販売員の声掛けの権威に影響を与える事が明らかになった。しかし,援助要請回避型の人と自立型の人はどの援助要請スタイルにも影響を与えないことが明らかになった。着装基準と販売員の声掛けについては,服を選ぶ際に社会的規範を重視する人は,販売員の声掛けの中でも「インスタで流行っています」などの流行に関する声掛けと「有名人が着ています」などの権威に関する声掛けと,「ポイントが2倍になります」などの返報性の声掛けを特に参考にすることが明らかになった。さらに,衣服を選ぶ際に印象管理を重視する人は,販売員の声掛けの中でも「似合っています」などの好意的な声掛けにとの間に有意な正の影響が見られるという結果が見られた。また,販売員の声掛けの性差は見られなかった。