1.はじめに
現代, 若年女性の大半が「痩せたい」という気持ちを抱き, マスメディアやソーシャルネットワーキングサービス(以下SNS)上の情報を頼りに実際にダイエットを行っている。厚生労働省が行っている国民健康・栄養調査(2020)によると, 最も肥満者の割合が低い年代が20代の女性で8.9%である。女性肥満者の全体平均が22.3%であることから, 20代の若年女性の肥満率が顕著に低いことが分かる。一方で, 20代女性の痩身者の割合は女性の全体平均に比べ高値であり, やせ過ぎによる健康問題は若い女性で深刻であることが指摘されている。これは, 若年女性に共有されている痩身意識に強く関係があるものと考えられている(田中2011)。また, 高橋・川端・山田・宮下・大浦・山田(2004)によると, 青年期男子において3割を超える者が痩せ願望を有したが, その約7割が理想体重の範囲内であり, 自分の体型を実際より太っていると認識している体型誤認の割合が痩せ願望群で多く, 不必要な痩せ願望の背景に誤った体型評価があることが示唆されている。さらに, 清原・檜山・本田・西村(2012)は, 痩身願望を規定するモデルでは影響過程が性別の違いによって異なることを示し, 男女関係なく痩身願望を抱いていることが見いだされている。これらのことより, 痩せの問題は女性だけではな く男性にも及んでいることが分かる。そこで, 本研究では大学生男女の痩身願望に着目する。
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