方法


1.調査対象
   大学生,大学院生127名,性別の内訳は男性28名,女性97名,回答しない2名であった。全ての回答に不備がなかったため,有効回答者として計127名を分析対象者とした。

2.調査時期
   2024年10月下旬〜11月中旬

3.手続き
   Webを使用した質問紙調査を行った。調査はGoogleフォームを用いた。大学の友人や後輩,先輩に調査協力を依頼したり,協力依頼を承諾していただいた先生の講義内で受講生に依頼したりし,調査に同意した人にのみ質問フォームを開いて回答を求めた。    質問紙は以下の尺度によって構成した。
 また,はじめに回答が研究目的以外には用いられないことや,個人情報の保護に最大限配慮し,厳重に保管,使用後は速やかに破棄することなど,本研究に関する説明事項を読んでもらい,それに同意する場合のみ回答に進んでもらった。次に学年,年齢,性別,家族と同居しているか,自身の友人の人数を多いと感じるかを尋ねた。

4−1. 自己開示尺度
 自己開示尺度は,丹羽・丸野(2010)によって作成された,自己開示の深さを測定する尺度である。本尺度を使用し,自己開示の内容ごとにどの程度詳しく話すのか測定する。本尺度は,「好きなもの」や「最近の楽しかったできごと」などの項目からなる「趣味(レベルT)」7項目,「困難な状況を誰かに助けてもらった経験」などの項目からなる「困難な経験(レベルU)」4項目,「直さなければならないと思っているが,なかなか直らない些細な欠点(時間にルーズ,など)」などの項目からなる「決定的ではない欠点や弱点(レベルV)」6項目,「自分の能力についてひどく気にやんでいること」などの項目からなる「否定的な性格や能力(レベルW)」7項目の計24項目で構成されている。本研究では,回答者の負担を減らすため,一部項目を削除し19項目を使用した。これらの項目を,「次の各項目について,あなたは普段友人に対してどのくらい詳しく話していますか。「何も話さない」から「十分に詳しく話している」までのうち当てはまると思う数字を回答してください。」という教示文のもと,7件法での回答を求めた。また,それぞれのレベルにおいて,最も詳しく話すことができる相手にどの程度話しているかを検討するため,「Aさんには十分に詳しく話しているが,Bさんには何も話さないという場合でも「7.十分に詳しく話している」を選択してください。」という指示を加えた。

4−2. 聞き手の受容的反応尺度
 森脇他(2002a)が作成した,被開示者の反応を測定するための尺度を使用した。聞き手の受容的反応尺度は,「真剣な姿勢(6項目)」,「アドバイス(5項目)」,「親身な行動(6項目)」,「共感(5項目)」の4因子計22項目で構成されている。本研究では,回答者の負担を考慮して,因子負荷量が小さい項目などを一部削除した15項目を使用した。これらの項目について,「あなたが友人に対して自分のこと(悩み,趣味など)を話すとき,友人からどのような反応をされることが多いですか。各項目について,「全くない」から「よくある」までのうち,あてはまるものを回答してください。」という教示のもとに,4件法での回答を求めた。

4−3. 聞き手の拒絶的反応尺度
 森脇他(2002a)が作成した,被開示者の反応を測定するための尺度を使用した。聞き手の拒絶的反応尺度は,「否定・無視(7項目)」,「無関心(6項目)」,「真剣味の無さ(5項目)」,「少ない反応(4項目)」の4因子計22項目で構成されている。本研究では,回答者の負担を考慮して,一部項目を削除した計16項目を使用した。これらの項目について,「あなたが友人に対して自分のこと(悩み,趣味など)を話すとき,友人からどのような反応をされることが多いですか。各項目について,「全くない」から「よくある」までのうち,あてはまるものを回答してください。」という教示のもとに,4件法での回答を求めた。

4−4. 自己受容尺度
 沢崎(1993)が作成した自己受容尺度を用いた。自己受容尺度は,身体面や外見に関する「身体的自己(8項目)」,主としてパーソナリティに関する「精神的自己(15項目)」,社会生活に関する「社会的自己(7項目)」,自己の役割に関する「役割的自己(5項目)」,自己の全体像に「全体的自己(2項目)」の計37項目で構成されている。先行研究では,各領域を足し合わせた合計得点を使用しており,本研究においても,尺度得点を合計したものも使用した。本研究では,回答者の負担を減らすため,大学生に当てはまらない項目を削除した計27項目を扱った。これらの項目について,「次の各項目について,普段あなたはどう感じていますか。1(気に入らない)」から5(そのままでよい)までのうち,あてはまる番号を回答してください。」という教示文を示し,5件法で回答を求めた。