総合考察・今後の課題について



 総合考察

 いくつかの種類の身振りの結果から、視点取得できるほど、何か伝えたい思いが身体の動作に表れて
いるだけの子どもの身振りの役割から、それに加えて聞き手に伝わるように・わかるように表れている
という大人の身振りの役割へと近づいていくということが明らかになった。
 しかし一方、そのままの子どもの身振りの役割が大きいものもあった。

 このことからも幼児期内の身振りは変化の過渡期であることが考えられる。

 このように、視点取得能力という相手の立場のことを考え、わかりやすく自分の言いたいことを
伝えようと考えることができる幼児の方が、発話とともに身振りを多く使って説明するということが
明らかになった。

  また、発話についても仮説のとおり視点取得能力が高い方が発話時間や発話内の文節数が増え、
言語段階を示唆するものが多くなっていた。このことから、視点取得能力という相手の立場のことを
考え、わかりやすく自分の言いたいことを伝えようと考えることができる幼児の方が、より長く説明し、
説明する際の語彙は増え、相手にわかるような話し方で説明するようになることが明らかになった。



今後の課題

 本研究では、被験児に『ブランコ』『すべり台』『車』という説明課題を与えて、発話と身振りを
観察し、記録した。これらを説明することが、幼児の自然なコミュニケーションであったのかどうかが
大きな課題であると思う。被験児自身の情動表出の際などのコミュニケーションスタイルこそ、幼児を
理解するためには見ていく必要があると思う。今回の研究では、幼児を理解するために、説明課題の際
の言語以外のものの少しの部分に焦点を当てただけにすぎない。そのため、今後の課題として幼児が
思いを伝える場面に広げていく必要性が残った。
 

 

              



発話と身振りの関係へ。 トップへ。