要約

 本研究の目的は、教師とスクールカウンセラーが学校の中で連携していくための信頼関係づくりにおいて必要なことを明らかにするものである。
 スクールカウンセラーが配置されている4校の養護教諭とスクールカウンセラーを対象に、次の3項目に基づいて半構造面接を行った。@学校内での情報交換について、Aスクールカウンセラーを含めた学校の体制、教員の連携について、Bスクールカウンセラーに対する考えについてである。それによって示された各校のスクールカウンセラーを含めた連携の様子から、教師とスクールカウンセラーの関係が良好であると判断でき、互いに協力して問題解決に努めていると感じられる状態にある学校を協力体制校、教師とSCの関係が良好でないと判断でき、独立した活動をしていると感じられる状態にある学校を独立体制校として分類し、それぞれの学校の連携と体制づくりのプロセスについて比較した。
 その結果、独立体制校よりも協力体制校のほうがスクールカウンセラーを活用できていることがわかった。また、子どもや学校の抱える問題に対して、教師とスクールカウンセラーが情報交換による共通理解をしていること、養護教諭が子ども、教師、保護者とスクールカウンセラーをつなぐコーディネーターとしての役割を果たしていること、スクールカウンセラーが教師に理解を得るために、また学校や教師を理解するために歩み寄っていくことが、教師とスクールカウンセラーの信頼関係をつくり、連携を促進していることがわかった。  



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