V. 外傷体験となる出来事
私たちは、DSMの診断基準に当てはまるような出来事以外にも、様々なストレスフルな出来事に曝される。ストレスフルなライフイベントについて、例えば、Holmes & Rahe(1967)は、家族や友人との死別などを挙げており、佐藤・坂野(2000)は、大切な人間関係の崩壊、学業上の失敗などを挙げている。本研究のように日常場面でのストレスフルな出来事の開示の場合、これらの研究の結果で得られたストレスフルな出来事が、開示を受けたこととしてあげられることも考えられる。これらの出来事は、DSM−WのPTSDの診断基準にあてはまるものばかりではないが、体験者にとっては非常にストレスフルな出来事であり、被開示者にとってもストレスとなったり、または、開示者と近しい間柄である場合、開示者の状態を知っていることによってストレスを感じたりすることがあると考えられる。
よって、本研究では、開示されたストレスフルな出来事について「想起に際して苦痛を感じさせる、さまざまな人生上の経験」という佐藤・坂野(2000)が用いた健常者を対象とした外傷体験の定義を用いることとした。また、これらの出来事はPTSDの診断基準に該当するような出来事のみではないため、それらとは区別をする必要がある。よって本研究における被開示内容を「ストレスフルな出来事」と呼ぶこととした。
W. 本研究の目的