要約
本研究は、
@性役割同一性と精神的健康の関連を明らかにする
A性役割同一性と自己の性の受容の関連を明らかにする
B自己の性の受容・性役割同一性・精神的健康の関連を明らかにする
という3点を目的として、主に大学生である457名(男性230名、女性227名)を対象に質問紙調査を実施した。
結果は以下のようにまとめられる。
(1)男性において、男性性の獲得は良い対人関係を築くこと、他者からの評価を気にしないこと、自己を高めていくこと、
充実感をもつことにポジティブな影響をもたらし、女性性の獲得は他者からの評価に敏感になってしまうというネガティ
ブな影響をもたらす。女性においては、男性性の獲得は他者からの評価を気にしないこと、自己を高めていくこと、充実
感をもつことにポジティブな影響をもたらし、女性性の獲得は良い対人関係を築くこと、自己を高めていくこと、充実感
をもつことにポジティブな影響をもたらす。
(2)男性においては、自己の性を受容することは男性性を獲得することにつながっている。また女性においては、自己の
性を受容することは女性性を獲得することにつながっている。
(3)男性において、良い対人関係を築くためには、女性性を獲得することよりも自己の性を受容することのほうが重要で
ある。また、他者からの評価を気にしないようにするためには、自己の性を受容していることよりも男性性を獲得してい
ることのほうが重要であり、女性性は獲得していないほうが良い。女性において、良い対人関係を築くためには、自己
の性を受容していることよりも女性性を獲得していることのほうが重要である。また、自己を高めていったり充実感を
もつためには、自己の性を受容することや女性性を獲得することよりも、男性性を獲得することのほうが重要である。
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