全体を通してスタッフが一番注目していた行動は「発言」であった。活動内容によってスタッフが注目していた発言場面に違いは見られたが、全体として発言量が増えていることから、発言意欲が高まったと考えられる。初めの頃はあまり発言が見られずおとなしかった児童やリピーターはその傾向が顕著である。しかし、発言意欲が高まると、他の人の意見に耳を傾けなくなることが増え、グループ内で衝突が起こったり、話し合いではなく意見発表会になってしまうことが多かったようだ。また、初めの頃は、グループのみんなに向けて発言することが苦手な児童が多く、スタッフを介したり、スタッフの方を見ての発言になっていたが、少しずつではあるがみんなに向けて話すことができるようになってきている。さらに、グループ内だけでなく、全体に向けての発表も積極的にできる児童が増えてきている。1人で発表するのは嫌だけれど、友だちと一緒ならやれるという児童が何人か見られたことや、グループのメンバーに励まされて発表に至るという場面が見られたことから、仲間と温かい関係が築けたことが発言意欲につながったと言えるだろう。
発言に対応している「聞く」ことにはあまり変化が見られなかったようである。前にも述べたように、自分が主張し始めると他の人の意見は耳に入らなくなり、自分の主張を通そうとする態度が一貫して見られる。他者の意見と自分の意見を調整をするスキルも未発達であると言える。
第2回と第6回を比べると、少しであるが、話し合いを活発に行えるようになったことがわかる。課題の内容に左右される部分もあると思われるが、スタッフの介入が減り、児童たちだけで進める姿がよく見られるようになった。