スタッフのコメント分析
1.分析対象
児童およびスタッフの継続的変化を見るため、スタッフ13名中、第1回の企画段階から参加しており、さらに全6回の活動全てに参加していた学部生・院生を、スタッフをしている期間を考慮して各学年1名ずつ、計3名を抽出した。その上で彼らが活動後に書いた各回の感想および秋クラス全体の感想を分析対象とした。
院生のスタッフ(以下、スタッフA)は昨年度の春から、学部4年生のスタッフ(以下、スタッフB)は昨年度の秋から、学部3年生のスタッフ(以下、スタッフC)は今年の春からわくわくクラブのスタッフとして活動しており、それぞれスタッフをしている期間は2年、1年半、1年である。また、3人ともそれぞれ違うグループのグループスタッフをしていた。
2.キーワードの抽出・整理
スタッフの感想について、結果と考察1と同様の手順でキーワード抽出処理を行い、キーワード抽出処理結果について、児童あるいはスタッフの言動に関する用語をもれなく網羅するよう適宜修正を加えた。
その後、同じ言動を表す用語をまとめるために、動詞・形容詞・形容動詞をすべて言い切りの形に置換して統一した。スタッフが児童のどのような行動に注目していたかという観点から分析を行うため、していた・していなかった、できる・できないの区別にかかわらず、全て肯定形の単語にまとめた。
3.各回の頻出キーワード
1、2で示したような処理を通してキーワードを抽出し、各回ごとにそれぞれのキーワードの使用頻度を算出した。各回ごとに使用頻度が高かったキーワードの上位10個を示したものが表2-1である。左から順番に、順位、キーワード、使用頻度である。合計についてはサンプル度数を表示した。
また、結果と考察1と同様の理由により、上位10個の中で使用頻度が4以下のキーワードは切り捨てた。
4.児童の様子と変化について
算出された頻出キーワードから各回における児童の言動の特徴および全体を通しての変化について考察していく。全ての回において『思う』が上位を占めているが、分析対象が感想であったため、ほぼ全て「(記述者が)〜と思った」という使われ方をしていた。そこで、児童の言動を表すキーワードではないと判断し、考察には加えないことにする。
第1回から秋クラス全体までのキーワードを眺めてみると、多少頻出順位は違うが同じキーワードが毎回出てきていることがわかる。つまり、スタッフが注目していた児童の言動が毎回同じで、スタッフは一定の基準を持って児童を見ていたと言えるだろう。それらのキーワードに加えて、各回の活動内容に則したキーワードが入っていることから、その部分にも注目していたことがわかる。しかしながら、どのキーワードにもスタッフ自身の行動が含まれており、使用頻度が高かったからといって、そのキーワードが児童の行動を代表しているとは限らない。そこで、キーワードを含む1つひとつの文章を細かく見ていき、主体が誰なのかに気をつけ、スタッフが注目していた言動がどのように変化しているのか考察していくことにする。
5.スタッフの様子と変化について