結果と考察

 

1.全般的な反応傾向:

 

好きな教師像を概観すると,友達のような気軽に付き合える(M=1.20SD=0.59 、項目4),活発できびきびしている(M=1.22、SD=0.51、項目1),わかるまで教えてくれる(M=1.35、SD=0.73、項目39),みんなと一緒に掃除してくれる(M=1.42、SD=0.82、項目38),授業を詳しく丁寧にする(M=1.43、SD=0.83、項目21)先生であると回答した。つまり、人間関係では,教師対生徒という堅苦しい関係を超えて,リラックスした友達のような付き合いを求めている。

 

逆に、好きではない教師像は、生徒が何をやるときにも黙って教えない(M=4.17SD=1.23、項目17)、約束をよく忘れた(M4.14SD1.24、項目35)、時たまエッチな話をする(M3.97SD1.17、項目29)、学校を休まないように厳しく注意する(M3.64SD1.29、項目22)、特定の生徒にばかり指名する(M3.42SD1.32、項目28)教師と回答された。

 

一般的に、好きな教師像は、「熱心に教えてくれる先生」、「教え方が上手な先生」、「専門知識の豊かな先生」である。それに対して、嫌いな教師像は、「えこひいきする先生」、「よく威張る先生」、「厳しすぎる先生」、「言行不一致の先生」である。したがって、今回の調査の結果は、一般的な求められる教師像に沿ったものであった。

 

 

 

2.因子分析と分散分析

 

瀧野の「好きな教師像」60項目について重みなし最小二乗法一回目の因子分析の結果,|0.40|未満であった32項目を除外して再度因子分析を行った。最終的に分析した項目数は28項目であった。主因子法をバリマックス回転して4因子を抽出し、信頼性係数はα=.71であった。1因子「人間性の尊重」、第2因子「個性的対応」、第3因子「厳格さ」、第4因子「外見性」を命名した。

 

 

    第1因子「人間性の尊重」

 

    成績について有意な差が見られた(F2301)=5.77,p<.05)。Tukeybを用いた多重比較によれば、下位群・中位群・上位群の間に有意差があり,成績が悪い生徒ほどに人間性を尊重する教師に好意を持つ傾向が見られた。よって、教師は自分の学級行動,特に学力の低い生徒との相互作用に気づく必要がある。

 

                              1因子 人間性の尊重  

 

 

平方和

自由度

平均平方

F

有意確率

グループ

6.62

2

3.31

5.77

0.00

グループ

172.70

301

0.57

 

 

合計

179.32

303

 

 

 

                     

                        

 

 

1因子 人間性の尊重 Tukey B  

度数

α= .05 のサブグループ

 

 

1

2

下位群

95

3.20

 

中位群

96

3.41

3.41

上位群

113

 

3.55

                           

                                      

  

 

     第2因子個性的対応

        その結果、成績について上位群、中位群、下位群間に有意差を見られなかった。

  それにもかかわらず、各因子の平均値に比べて、最も低い値を示された。そこで、いずれの生徒にも個別的な対応の教師に好意をも つ傾向が見られた。

 

第2因子 個性的対応  

 

平方和

自由度

平均平方

F

有意確率

グループ

1.47

2

0.73

3.10

0.05

グループ

71.05

301

0.24

 

 

合計

72.52

303

 

 

 

                                                                              

    第2因子 個性的対応   Tukey B

度数

α= .05 のサブグループ

 

 

1

 

 

中位群

96

1.5

 

 

上位群

113

1.5

 

 

下位群

95

1.65

 

 

                                                

       第3因子「厳格さ」 

  

      その結果、成績について上位群、中位群、下位群間に有意差を見られなかった。

    よって、いずれの生徒にも厳しい教師に好意を持たないことが考えられる。

                     

第3因子  厳格さ 

因子3

平方和

自由度

平均平方

F

有意確率

グループ間

1.47

2

0.74

1.55

0.21

グループ

143.32

301

0.48

 

 

合計

144.79

303

 

 

 

       

          

 

 

 

 

 

 

第3因子 厳格さ Tukey B  

度数

  α= .05 のサブグループ

 

 

1

 

 

上位群

113

2.60

 

 

中位群

96

2.65

 

 

下位群

95

2.77

 

 

 

 

 

        第4因子「外見性」

  

      その結果、成績の上位群、中位群、下位群について有意差は見られなかった。

各因子の平均値からみると、一番人気な教師は個性的対応できる先生で、次は外見性を持っている先生である。そこで、教師の外 見に対していずれの生徒にも気にしていることが考えられる。

しかし、教師の外見は無論影響を与えるが、もっとも魅力がある教師になるためには外見だけではなく、教師の専門性や生徒に対する愛情と知的探究心などが必要である。

  

       第4因子 外見性

 

平方和

自由度

平均平方

F

有意確率

グループ

1.72

2

0.86

1.89

0.15

グループ

137.52

301

0.46

 

 

合計

139.24

303

 

 

 

 

 

 

 

 

第4因子 外見性 Tukey B  

度数

α= .05 のサブグループ

 

 

1

 

上位群

113

1.85

 

中位群

96

1.99

 

下位群

95

2.01

 

 

 

 

 

 

 

 

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