総合考察
生徒のいだく教師像はかなり多様なものであり、生徒たちが日々感じる教師像を確認しようとするために、本研究は、最近中国の中学生いだく教師像を明らかにすることであった。
本研究の結果から、瀧野(1995)の研究結果にはほぼ一致するものであるといえる。教師の人間的態度と教科内容に関する教え方の両者を生徒は知覚することで、好きな教師像と嫌われる教師像に生徒の考えが別れる。
本研究では、多様化した生徒の好みをできる限り実情に即してとらえようとした。その結果「人間性の尊重」「個性的対応」「厳格さ」「外見性」の4因子を抽出することができた。これらの結果は,従来の研究でも指摘されているものであるが,特に「人間性の尊重」因子は,本研究では新たに抽出できた因子である。これは、先行研究の行われた地域と中国教育の現状の違いからくるものかもしれないが、今日の中国の教育問題の解決策につながる一つの重要な視点になるものであることには違いない。
つまり、本研究から因子分析の結果で得られた4因子は個々の生徒の教師認知の枠組みとして集約したものであるが、教科教育の側面からは生徒個々スタイルに合わせた対応、生徒指導的側面からはカウンセリングマインドで接する対応の重要性を確認するものである。