全体要約

 

 

本研究は,中国の中学生を対象に、生徒側から見る理想的な教師の姿を明らかにすることを目的とする。この研究によって、教師が自らの行動を振り返る必要性に気づかせて、教師行動パターンを認識することである。

 

中学校2年生333人を対象に、教師認知、特に好きな教師に関する調査を実施した。調査項目は、瀧野(1995)「好きな教師像」についての60項目を使い、最後に自由記述欄を設置して、調査対象に「好きな教師像」の簡単な感想文を書かせた。

 

項目分析の結果、因子分析により「人間性の尊重」「個性的対応」「厳格さ」「外見性」の4因子を抽出した。特に、「人間性の尊重」は、本研究では新たに抽出できた因子である。これは、今日の中国の教育問題の解決策につながる一つの重要な視点になるものであることには違いない。

 

分散分析の結果には、「人間性の尊重」における、成績について有意差が見られた。ほかの3因子について、有意差を示さなかった。よって、教師は一般的に、自分の学級行動、特に学力の低い生徒との相互作用に気づく必要がある。教師の属性や行動の中には,生徒を個人として尊重したり,生徒の言うことを注意深く聞いたり,敵意のある個人的な叱責をしないなどのように,努めることが大切である。

 

今後の課題には教師行動のパターンを認識するための教師トレーニングの場の設定が必要となる。それには様々のフィードバックをしてもらうことによって、自分の行動についての認識を深めることができる。また、教科の授業の中で人間関係作りに努める必要がある。それには教科の内容や教材を通して、対話の時間と場所を如何に多く設定するが課題となってくる。

 

 

 

 

 

 

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