問題・目的
現代では、インターネット上から始まって、互いの顔や素性を知らないまま築かれるような対人関係は決して珍しくない。
このようなインターネットを介したコミュニケーション(以下、CMC)は、
「非対面性」「匿名性」「物理的制約からの解放」「関係解消の簡便さ」などの特徴を持つ。
一見、対面状況(以下、FTF)と相反したものであるようにも思えるが、先行研究より、
両者は深く関連していることがうかがえる。
本研究では、CMCツールの中でも、ソーシャル・ネットワーキングサービス(以下、SNS)、
その中でも国内最大級と言われているmixi(ミクシィ)と、その大学生ユーザーに焦点を当てて、
mixi及びユーザーの現状を知ると共に、このような対人関係形成の根底にあるものについてを探っていく。
mixiは本来、既存の対人関係の延長上に位置するシステムであるという点から、
CMCツールの中でも異色の存在であるといえる。
だからこそ、通常のCMCとは違って現実と非現実を割り切りにくく、振る舞いや言動が制限されてしまう可能性がある。
自己の人生の中での様々な環境や時期における友人知人に、同時に同様の自己開示・表現をしなければならないため、
自己の印象操作を慎重に行うようになり、公的自意識が高くなることが考えられる。
また、mixiユーザーの中には、FTFを苦手として、インターネット上であるから自己開示できる、表現できるという者も存在すると考えられる。
その根底には、FTFに対する苦手意識、すなわち対人恐怖傾向の引き金として、何らかの「劣等コンプレックス」が強く存在している可能性が考えられる。
ここで、「劣等コンプレックス」はネガティブな心理状態であるため、本研究では「自己没入(self-preoccupation)」という概念を取り上げ、
その傾向の高低と、対人恐怖傾向との関連を見ていくこととする。
以上のことと、「mixi疲れ」「mixi依存症」という社会現象にも関連づけて、
健康的なCMCツールの利用の仕方及び、FTFとの有効的な両立手段も見出していく。
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