1回目

1−@:2006年9月13日・・・5名


 この日は、はっつけ絵遊びの初日であったため、子どもたちも『何をするのだろう』という少しの不安と期待を持って臨んでいた。はっつけえ遊びが進むにつれて、最初あった不安は次第に消えて、子どもはわくわく、どきどきしていたようだった。

【導入】
 はっつけ絵遊びの導入で、朝ごはんを食べてきたかどうかを尋ねることにした。朝ごはんを食べてきたかどうかは、その日の子どもの活動に大きく影響すると考えたからである。朝ごはんひとつをとっても、子どもは子どもなりにいろいろなことを考えているようだった。

【おめめつぶり】
 たいていの子どもが、目をつぶるときに、嬉しそうに『きゃははは』と笑って、自分の手で、自分の目を押さえていた。筆者が「何が食べたいかな〜?」と小声で全員に話しかけると、H子は、『H子はドーナッツ・・・食べたい・・・』とツバを語君と飲み込んだ。子どもたちにとっては、それだけリアルに想像できたのだろう。こうすることによって、子どもたちのはっつけ絵を作る意欲は格段にあがったと考えられる。

【教示】
 「今日は切って貼ってお絵かきをしよう。先生(筆者)が見本を見せるよ。好きなものをこうやってちょきちょきちょき・・・とはさみで切り取って、のりを塗って、台紙に貼ったら、最後にお絵かきをしたり、お話を作ったりして遊ぼうね。」と教示した。子どもたちは筆者の言葉を理解し、「それでは、はじめよう!」と筆者が言うとすぐ、アイテムを切る作業に取り掛かる子どももいた。

【アイテム選び】
 筆者は束になったチラシを見せて「こんなものもあるよ」と言いながら見せた。束になって見せたため、一目でほしいものを満遍なく見られなかった。
 第1回目ということで、アイテム数が限られており、T男は5分以上経っても『何切ればいいかわからん』『これも違う〜、これも違う〜』と迷っていた。ずいぶん長い間迷っていたが、筆者がチラシを見せながら「この中からだったら、どれを選ぶ?」と尋ねるようにして一緒に選ぶと、『あっ、ぼくこれにしよう!』と、自分の切りたいものがやっと見つかり、切り始めることができた。一度切り始めると、自分で次々に切っていくことができるようになった。
 これ以降、子どもがアイテムを選ぶときには、もっとよい方法を考える必要があると考えた(結果的に「アイテムツアー」と言う形をとることにした)。
 「アイテム選び」に関しては、コラージュボックスの使い方に迷った。コラージュボックスを使わず、マガジンピクチャーコラージュ方式で、黙々と集中して切り取っている子どもも折、はさみで切り取っている子どもには、コラージュボックスは必要でなく、むしろアイテムボックスを使わないほうがよいのではないかと感じていたので、どの場面でアイテムボックスを子どもに提示しようか迷った(結果的に、選べない、切れない子どもがいるときに使用することにした。)

【切る・貼る・話す】
 子どもたちは、いろいろな話をしながら切ったり貼ったりしていた。M子はA男に自分の貼ったメガネのアイテムを見せながら、『この中でどれが好き?』『A男ちゃんは、黒いめがねな。M子は赤いメガネ。』と話しかけた。子どもたちの会話ややり取りから、こども同士でイメージやファンタジーを共有していることがわかった。
 切り方について気づいたことは、H子とA男が同じような切り方をしていたことである。
 2人ともほとんど四角形ばかりの形で、同じ大きさのアイテムを切り取った。
 イメージとファンタジーがまだ充分に膨らんでいないのではないかと考えられた。

H子のはっつけ絵
四角い切抜きが多い。真ん中にボックスから選んだオレンジジュースが貼られている。
A男のはっつけ絵
四角い切抜きばかりで、充分イメージとファンタジーが膨らんでいないのではないかと考えられた。


 また、貼り方については、R男が次々と切りたいものを切り、たくさんのアイテムを貼り付けた。その結果、台紙を3枚も使い、A4ではサイズが小さすぎることがわかった(1−Aからは8つ切りを使ったところ、うまくいった)。
【筆者と友達とでシェアリングをする】
 いつの間にか、最初に5人グループだったのが、3人と2人のグループに分かれていった。そのため、別々にシェアリングをすることになった。
 R男とT男の2人のグループでは、T男の貼ったお風呂に一緒に入りにいく話が展開された。イメージとファンタジーが表出していた。3人グループでは、深いイメージやファンタジー発展しなかった。5人に、はっつけ絵遊びの感想を聞いたところ、5人とも楽しかったと答えた。


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