4.結果

 子どもたちの様子を詳述した普段の園生活での観察記録から、「@活発―おとなしい」、「A友達と遊んでいる―あまり友達と遊ばない、またはトラブルをよく起こす」 という観点から子どもたちの性格のタイプを分類した。このように分類することで、どのようなタイプの子どもがどのように変化していくのかがよりわかりやすくなると考えたためである。
 その結は次のようになった。

表1 子どものタイプわけ、各タイプの性格と人数

各タイプの内容
Aタイプ 不安・不満を顕著に現すタイプ、攻撃性・自己中心性が極端、孤立的である(6名)。
Bタイプ 口数が少なく、遊び相手も少なく一人で遊んでいるタイプ(5名)。
Cタイプ 協調的でありながらおとなしいタイプ(9名)。
Dタイプ 協調的でありながら活発なタイプ(9名)。


【子どもたちの遊びと会話から

 子どものはっつけ絵遊びの会話・様子を詳述した記録(テープレコーダ使用)を利用して、子どもたちの会話や遊びの様子の内容をKJ法によって分類したところ、@不安や攻撃的な発言、Aアイテムから考えた内容の発言、Bよい影響が現れたと考えられる発言、に分けられた。

表2 はっつけ絵遊び中の子どもたちが発した言葉のカテゴリー

 Aタイプでは、はっつけ絵遊びの実施前および前半で頻繁に見られた不安や攻撃の言葉が、はっつけ絵遊び後半では少なくなる、過剰な自己中心性を表す言葉も減少した子どもが見られた。
 Bタイプの子どもは前半では、必要最小限のことしか話さない、興奮しすぎて友達とのコミュニケーションをとらない、と言う子どもが多かった。Cタイプ、Dタイプの子どもが思ったことを比較的声に出して言うのに対して、Bタイプの子どもはアイテムに対する「かわいい!」「ほしい!」というような言葉を発することがほとんどなかった。Bタイプでは、コラージュ実施前と実施後で、口数の変わらない子どももいたが、時間が経つにつれてポツリポツリと話すようになった子どもも数名見られた。
 口数が少なくても、最終的に同じグループの友達同士でイメージとファンタジーを共有し、豊かな遊びが現れていたことは注目すべきところである。
 CタイプやDタイプは、自分を見てほしいことや、アイテムに対する感想を素直に口にしていた。筆者が気を配ると、「見て見て!」という言葉が少なくなると同時に、だんだんはっつけ絵遊びに集中していったり、今度は自分が友達をほめたりすることができるようになった子もいた。A〜Dタイプのいずれのタイプでもだんだん、Bのような「よい影響が現れたと思われる発言」が多くなり、口数が増し、自分を表現することができるようになった。
 
 選ぶ、切る、貼る、アイテムの数についても考察したが、タイプ間で目立った特徴は見られなかった。

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