全 体 要 約

<目 的>

 

本研究は、中国の大学生に研究対象としてLent, Brown & Hackett(1994)社会・認知的進路理論にもとづく、進路選択に対する自己効力感、結果期待、職業興味と職業志向性の変数を用いて、学年別と男女別の違いを明らかにし、進路選択に対する自己効力感、結果期待が職業興味に及ぼす影響について検討することを第1の目的とする。また専攻分野は職業興味と一定の関係にあるかどうかを考察する。そして、職業興味が両親の学歴・職業といったデモグラフィック要因とどのような関係にあるかを検討することを本研究における第2の目的とする。

 

<方  法>

 

調査対象:中国江蘇省下の4年制J大学に在籍する大学生300名であり、有効回答数は284名男性150名、女性134名)、

          平均年齢は20.5歳(SD=1.17)であった。

 

  調査方法:質問紙調査


  質問紙の構成:

  @進路選択に対する自己効力感尺度25項目
  A
進路選択に対する結果期待尺度4
項目

  B職務内容による職業興味尺度45項目

  C職業志向尺度15項目

  Dその他の質問項目

 

<結果と考察>

 

男女差については、算出した因子得点を比較したところ、性別と効力感、結果期待の間に男女の間に有意な差がみられなかった。職業興味については、現業・販売職には、女性より男性のほうが高い得点を示す。語学職、マスコミ職、事務職、教育職については、女性のほうが高い傾向を示す。職業志向性については、人間関係志向は、男性よりも女性のほうが得点高い。労働条件志向は、男性よりも女性のほうが得点低い。

学年差については、自己効力感は、4年生が1年生より高い傾向を示す。結果期待には、学年間で有意な差が認められない。職業興味については、有意な学年差がみられなかった。職業志向性ついては、4年生のほうが有意に高い傾向をみせている

結果期待が職業興味に及ぼす影響を見られなかった。進路選択に対する自己効力感は、職業興味に影響しているが、ただし、そのなか、目標設定効力感といずれかの職業領域の間に関連性を見られなかった。職業志向性は職業興味に対して影響力を有していた。

専攻分野別と職業興味の関係は、それぞれの職業興味は、大学における専攻分野にほぼ対応している。大学生の職業興味1つの規定要因としては、父親の学歴が重要である。しかし、母親の学歴、母親の職業については、有意な結果は得られなかった。

 

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