問 題 と 目 的

 

 

 

 学習観とは、「学習とはどのようなものか」に対する学習者自身の認識であり、各自の学習経験や親・教師・兄弟・友人などからの影響によって形成されるものと考えられる(掘野・市

 

川、1990)。このような学習観は、個人の学習行動の基盤を成すものであり、教育実践場面で教育者が把握しておく重要な学習者情報である。それ故、人の持つ学習観がどのようなもの

 

であるかを明らかにすることは、教育、学習の問題を考える上で極めて重要であるといえよう。

  学習観は、人が経験から作り上げてきたものであり、そこには、教育文化環境が関わっているはずである。そこで本研究では、日中大学生を対象とする学習観尺度を作成し、日本の大

 

学生と中国の大学生の学習観の比較研究を行い、日中大学生の学習観の様々な異同を捉えることを第1の目的とする。

   学習観の働き、機能に関する研究と比較して、学習観に影響する要因、さらにその形成に関わる要因に関しては、ほとんど研究は進んでいない。学習観の形成にはどのような要因が

 

関係しているであろうか。本研究では、学習観に影響を与える要因として、文化的自己観を取り上げて、その影響を探ることを第2の目的とする。
 

  さて、近年、学習観が学習方略の選択に影響を及ぼす重要な要因の1つであると考えられるようになってきている。そこで本研究では、日中大学生を対象とする学習方略尺度を作成

 

し、日中 大学生の学習方略の様々な差異を検討していく。そして、日中比較の観点から、学習観が学習方略に対してどのように機能しているのかを明らかにすることを本研究における

 

第 3の目的とする。

 

 

 

 予備調査