1.自己意識、希望する着装スタイルと実際の着装スタイルとの差異
自己意識の高さによって、希望する着装スタイルと実際の着装スタイルとの差に違いが見られるのかを検討するため、
まず自己意識の下位尺度である公的自意識、私的自意識、対人不安意識、自己顕示性の各々について、平均値より高い者を高群、低い者を低群として2群に分けた。
次に、着装スタイル項目ごとに、希望する着装スタイルの評定値から実際の着装スタイルの評定値を引き、「希望とのずれ」得点を算出した。
この値が0であることは希望通りに着装していることを、また正になることは希望する着装スタイルを選択せず抑制していることを、
負になることは希望していないがその着装スタイルを選択していることを示す。また、男子と女子で装着スタイルの項目が異なるため、男女を分けて分析を行った。
1)公的自意識と自己顕示性による「希望とのずれ」について
公的自意識(高・低群)と自己顕示性(高群・低群)を独立変数、各着装スタイルの「希望とのずれ」得点を従属変数した2×2の分散分析を行った(Table 8-1)。
男子
公的自意識高群・自己顕示性高群は12名、公的自意識高群・自己顕示性低群は6名、公的自意識低群・自己顕示性高群は15名、公的自意識低群・自己顕示性低群は21名であった。
「2ズボンのすそを踏む」においては公的自意識の主効果が有意であった(F(1,50)= 7.79, p<.01)。
このことから、自己顕示性の高低に関係なく、公的自意識が低い人はズボンのすそを踏みたいと思っている程には実際にしておらず、
公的自意識が高い人は逆に、ズボンのすそを踏みたいと思っていないが実際にはしていることを示した。
女子
公的自意識高・自己顕示性高群は23名、公的自意識高群・自己顕示性低群は9名、公的自意識低群・自己顕示性高群は9名、公的自意識低群・自己顕示性低群は19名であった。
分散分析の結果、いずれの着装スタイルにおいても有意な交互作用、主効果は得られなかった。
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