2)公的自意識と対人不安意識による「希望とのずれ」について
公的自意識(高群・低群)と対人不安意識(高群・低群)を独立変数、各着装スタイルの「希望とのずれ」得点を従属変数した2×2の分散分析を行った(Table 8-2)。
男子
公的自意識高群・対人不安意識高群は12名、公的自意識高群・対人不安意識低群は7名、公的自意識低群・対人不安意識高群は15名、公的自意識低群・対人不安意識低群は20名であった。
分散分析の結果、「6学校指定外のネクタイをする」において有意な交互作用が見られた(F(1,50)= 4.47, p<.05)。
このことから、公的自意識が低く対人不安意識が低い人、公的自意識が高く対人不安意識が高い人は、学校指定外のネクタイをしたいと思っているが、実際にはしていないということが示された(Table 8-2.1)。
また「2ズボンのすそを踏む」においては公的自意識の主効果が有意であった(F(1,50)= 6.88, p<.05)。
これは、対人不安意識に関係なく、公的自意識が低い人は、ズボンのすそを踏むことを希望しているように実際にはしていないということが示されたといえる(Table 8-2.1)。
女子
公的自意識高群・対人不安意識高群は20名、公的自意識高群・対人不安意識低群は12名、公的自意識低群・対人不安意識高群は15名、公的自意識低群・対人不安意識低群は13名であった。
分散分析の結果、女子の「5ルーズソックスを履く」(F(1,56)= 5.83, p<.05)、「6ネクタイを短くするなど、形を変える」( F(1,56)= 4.87, p<.05)について有意な交互作用がみられた(Table 8-2.2)。
「5ルーズソックスを履く」については、対人不安意識が低い人は、公的自意識が低いと、ルーズソックスを履きたいと思っているが実際には履いていないのに対し、
対人不安意識が低く、公的自意識が高い人は、ルーズソックスを履きたいと思っている程度にルーズソックスを履いている、もしくは履きたくないと思っている程度に履いていないことが示された。
「6ネクタイを短くするなど、形を変える」においては、対人不安意識が低い人は、公的自意識とはあまり関連が見られないが、
対人不安意識が高い人は、公的自己意識が高いと、ネクタイの形を変えたいと思っていても実際はしていないことが明らかになった。
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