分析


集団での絵本読み聞かせ中に起こった幼児の発話の分析

 集団での読み聞かせ中に起こった幼児の発話を、幼児の発話の対象・向きによって、Table1の 5つに分類する。まず1.他者にむけられていない「独語的発話」、2.発話のむけられた相手を特定 することはできないが、他者を意識し、読み聞かせ集団全体に対して発せられたような「全体的 発話」、3.仲のよい友達・そばにいる友達・保育者など特定の他者にむけられている「共有的発話」 の3つに大きく分類する。
更に「共有的発話」については、以下のように2つに分ける。特定の友達へ向けて発した共有的発話 を3-1,「共有的発話-友達」、保育士へと発話の向きが特定された共有的発話を3-2.「共有的発話-保 育士」である。以上の4つに、絵本読み聞かせに関係しない発話を加え、読み聞かせ中に幼児がどの ような対象に向けて、もしくは他者には向けずに発話を行ったかについて、5つの発話カテゴ リーに分類し、明らかにする。
さらに、絵本読み聞かせ中に起こった幼児の発話は、他児や保育士の発話による影響を受けているこ とも考えられる。どのような影響を受けているのか分析するため、以下の3つに分類する。1.保育士 や幼児からの発話の影響をうけておらず、おおむね、発話した幼児による新規の意味をもって発せら れた「独自発話」、2.他児の発話に影響をうけて発せられた「他児影響発話」、3.保育士による、絵 本読み聞かせ中の問いかけ、呼びかけ、絵本の繰り返しのある言葉を促す、といった厳密な絵本読み ではない直接的な「働きかけ」に影響され起こった「保育士影響発話」、の3つの発話群である。
本研究では、絵本読み聞かせ中に起こった発話を以上の観点から、Table2のように分類した。


Table1 発話の向きのカテゴリーとその定義





Table2発話の向き・うけた影響による発話の分析カテゴリーとその定義






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