方法
★調査対象者★
大学生男女202名に対して質問紙調査を行った。記入漏れや記入ミスのあったものを除いた結果、有効回答者数は178名(男性79名,女性99名:平均年齢19.5歳)であった。
★調査時期★
2008年の11月下旬から12月上旬にかけて行った。
★手続き★
調査は講義時間中に質問紙を配布し、一斉に行った。質問紙の回答に要した時間は15分程度であった。
★質問紙構成★
配布した質問紙は以下の内容などから構成された。また、対面可能性の低い友人・高い友人との関係性、コミュニケーション回数と時間、コミュニケーション内容は古谷・坂田(2006)を参考に質問を作成・改定し尋ねた。
対面可能性の低い友人との関係性:調査対象者に「大学入学以前からの同性の最も親しい友人で、普段めったに会えない友人(所属大学の学生以外の人)」を想起させ、イニシャルを尋ねた。「大学入学以前から」と制約をつけた理由は、「大学入学後に知り合っためったに会えない親しい友人」をもつ調査対象者はきわめて少ないと考えられたからである。特殊な少数ケースを除く目的で制約を設けた。次に、対面可能性の低い友人との関係について、「小学校が一緒」「中学校が一緒」「高校が一緒」「予備校・塾が一緒」「親戚」「実家が近所にある」「その他」の中からあてはまるもの全てを選択させた。続いて、対面可能性の低い友人との関係期間を記述させた。また、対面可能性の低い友人との親しさについて「親しくない(1)」から「非常に親しい(11)」の11件法で回答させた。さらに、対面可能性が低いことを確認するため実際に会うために要する時間を尋ねた。
対面可能性の低い友人とのコミュニケーション回数・時間:対面可能性の低い友人とどの程度コミュニケーションを行っているかを確認するために、コミュニケーション・メディア(対面・携帯電話・携帯メール・自宅電話・パソコンの電子メール)ごとに回数・時間などを回答させた。回数については「過去一週間」か「過去一年間」のどちらかを調査協力者に選ばせ、回答させた。
対面可能性の低い友人とのコミュニケーション内容:どのような内容のコミュニケーションを行っているかを測定するために古谷・坂田(2006)の作成したコミュニケーション尺度を参考にし、項目を増やしたコミュニケーション内容尺度を作成した。項目は計15項目となった。回答の際にはコミュニケーション・メディア(対面・携帯電話・携帯メール)ごとに自分から進んで話せたコミュニケーション内容全てを選択させた。項目例は、「問題解決のためのアドバイスや情報を求める」、「友人関係の悩みを伝える」、「今何をしているかなどの現状報告をする」などであった。
また、実際行ったコミュニケーションとは別に、各友人にしたいと思うコミュニケーション内容についてもたずねた。
対面可能性の高い友人との関係性:調査対象者に「大学入学後に最も親しくなった同性の友人で、いつでも会える友人」を想起させ、イニシャルを尋ねた。特殊な少数ケースを除く目的で制約を設けた。次に、対面可能性の高い友人との関係について、「学部が一緒」「サークルが一緒」「アルバイトが一緒」「その他」の中からあてはまるもの全てを選択させた。これ以降の質問項目(対面可能性の高い友人との関係期間、親しさ、会うために要する時間、コミュニケーション回数・時間、コミュニケーション内容)は対面可能性の低い友人と同様であった。
また、対面可能性の低い友人に関する質問と対面可能性の高い友人に関する質問の順を固定することによって、回答の順序効果が出ると考えられたため、質問の順序を入れ替えた2パターンの質問紙を作成した。
特性シャイネス尺度:全16項目からなる相川(1991)によって作成された日本語版の尺度である。本研究では「全くあてはまらない(1)」から「非常によくあてはまる(5)」の5件法で回答を求めた。この尺度は相川(1991)によって妥当性、信頼性ともに確認された。尺度の項目例は、「私は人がいるところでは気おくれしてしまう」、「私は自分から進んで友達を作ることが少ない」、「私は人目に立つようなことは好まない」などであった。
メール態度:赤坂・高木(2004)のメール内容について尋ねた質問項目で、「情報伝達」「真実の心理的一体感」「虚構の心理的一体感」「情緒的依存」の4因子に分類された10項目を使用した。
対人感情:内田(1990)の対人関係尺度を使用した。本尺度は青年が日常生活の中で感じる親和的・協調的な肯定的感情と、それらをうまく果たせない状態で感じる否定的感情を測定するものである。肯定的感情4項目,否定的感情4項目の全8項目からなる。「全くあてはまらない(1)」から「非常にあてはまる(5)」の5件法で回答を求めた。
フェイスシート:性別・年齢・学部・学年をたずねた。