方法

 

 

対象児

 三重県T市内の国公立幼稚園・保育園(計4園)に通う年少(3歳児)クラスの幼児57名(男児34名、女児23名;平均月齢49.4ヵ月)。

 57名をきょうだい有り・無しの2群に分けた。きょうだい有り45名(平均月齢49.4ヵ月)、きょうだい無し12名(平均月齢49.3ヵ月)であった。また、57名を入所年数が2009年度入所である8ヵ月以内・2008年度以前入所である9ヵ月以上の2群に分けた。8ヵ月以内36名(平均月齢48.8ヵ月)、9ヵ月以上21名(平均月齢50.3ヵ月)であった。

 

実施場所

 幼児と実験者の11になれる園内の保育室、個室のいずれかで実施した。

 

実施期間

 200911月中旬から12月中旬。

 

材料

 仮想課題として、日常生活の中で自己抑制が必要になる場面で、相手が一人の状況2場面と相手が複数の状況2場面の計4場面を独自に作成した。いずれの場面も男児用と女児用の2種類を作成した。相手が一人の状況は、「絵本を見たいが友達が先に見ていた」状況と「自分も友達も同じお菓子が欲しい」状況で、相手が複数の状況は、「ブランコに乗りたいが友達が先に乗っていた」状況と「自分も友達も同じ積み木を使いたい」状況であった(Table1参照)。課題はすべて3枚のイラストからなり、1枚目と2枚目で自己抑制状況を説明し、3枚目で対象児自身の行動を「抑制」「協調」「非抑制」の3つの中から1つを選ばせるものであった(Figure1Figure2参照)。「抑制」とは友達の欲求を優先する行動、「協調」とは自分と友達の両方の欲求を満たす行動、「非抑制」とは自分の欲求を優先する行動であった。

 

 

イラスト

教示文

1枚目

 

ある日、○○くんはお部屋で遊んでいるときに絵本を見たくなりました。

2枚目

 

そこで、絵本の置いてある所まで行ってみると、○○くんが見たかった絵本はお友達が先に見ていました。

3枚目

 

こんなとき、○○くんならどうしますか?
この中から選んでください。

・「あとで見せてね」と言って待つ
・お友達と一緒に見る
・絵本を取る

Figure1 絵本の場面(男児用)

 

イラスト

教示文

1枚目

 

ある日、○○ちゃんはお外で遊んでいるときにブランコに乗りたくなりました。

2枚目

 

そこで、ブランコの所まで行ってみると、ブランコにはお友達が先に乗っていました。その横には、順番を待って並んでいるお友達もいます。

3枚目

 

こんなとき、○○ちゃんならどうしますか?
この中から選んでください。

・○○ちゃんも並んで順番を待つ
・お友達と一緒に遊ぶ
・お友達にどいてもらう

Figure2 ブランコの場面(女児用)

 

手続き

 課題は、実験者と対象児との11の個別面接で行った。机をはさんで、実験者と対象児が向かい合う形で実施した。所要時間は、1回の面接につき10分から15分程度であった。面接中の対象児の発言については、ICレコーダーによって録音、または実験者による書き取りによって記録した。ICレコーダーは机の上に置いて面接を行った。

 まず、対象児に名前と年齢を尋ねてから、課題について説明を行った。その後、各場面のストーリーと選択肢を紙芝居形式で提示した。ストーリーは、イラストの提示に合わせて、口頭で教示文を読んだ。選択肢の回答は、「抑制」「協調」「非抑制」を示す3つの絵を同時に提示し、「こんなとき○○くん(ちゃん)ならどうしますか」と尋ね、1つを選ばせる形式で実施した。さらに、対象児が反応を選択した後、選んだ理由について尋ねた。理由づけの質問については、「どうして〜(対象児が選んだ反応)しようと思ったのですか」という形式で質問し、できるかぎり対象児からの発話を収集した。実施する課題の順番、選択肢を提示する順番、選択肢の提示位置はカウンターバランスした。なお、対象児が課題を理解していないと判断したときや対象児から質問があったときには、実験者が説明を行った。