方法




1.対象者
 A県の幼稚園、保育園に通っている3歳児・4歳児・5歳児の親と幼児の担任教師を対象とした。1人の幼児に対し、その親と教師に質問紙調査をおこなった。教師への配布数と回収数は幼児379名分であった(回収率100%)。このうち記入漏れや重複記入がなくデータとして使用できるものは、幼児365名分であった。親への配布数は467名で、回収数は277名であった(回収率59.5%)。そして、教師が回答したデータと保護者が回答したデータを合わせた結果、分析対象となったのは幼児277名であった。このうち3歳児は33名(男児11名、女児22名)、4歳児は146名(男児77名、女児67名、不明2名)、5歳児は98名(男児48名、女児50名)、計277名(男児136名、女児139名、不明2名)だった。 また、このうち想像上の仲間を持つ5歳児の女児の親1名にインタビューをおこなった。

2.調査時期
 2011年11月〜12月。
3.手続き
 A県内の幼稚園3園と保育園2園に依頼した。3歳児と4歳児と5歳児の親の計467名に親対象の質問紙調査用紙を、担当児が属している教師に教師対象の質問紙調査用紙をそれぞれ配布した。   また、インタビューは、園の一室で15分程度おこなった。

4.質問紙の構成(親対象)
 1)フェイスシート
 2)子どもの環境的背景及び個人的特徴について
 氏名、性別、年齢、生年月日、家族構成、家族の就業形態を尋ねた(氏名・家族構成・家族の就業形態については、園の要望により、記入した園とそうでない園に分かれた。)。 性格については「優しい、目立ちたがりや、協調性がある、くよくよしやすい、人見知りをする、こだわりがある、世話好き、負けず嫌い、マイペース、おとなしい、頑固、活発、臆病、几帳面、その他」の15項目から子どもの性格に当てはまる項目すべてに印をつけるよう求めた。  3)子どもの移行対象について
 「お子さまにとって,寝たり外出したりするときなどに手放せない、お気に入りのぬいぐるみやタオルはありますか。または、これまでにありましたか。」と移行対象の有無を尋ね、「はい」か「いいえ」で回答を求めた。「はい」と答えた方には「それはどんなものか」「それは何歳から何歳まで続いたか」を尋ねた。  4)子どもの事物の擬人化(Personified Object)について
 「幼児期の子どもは、たまに、ぬいぐるみや人形などをまるで生きた友達のように扱います。例えば、イギリスの童話作家ミルンは、わが子クリストファー・ロビンがぬいぐるみのクマをまるで生きた友達のように扱う様子をみて、それを『クマのプーさん』という有名な本にしています。あなたのお子さまは、そのように玩具をまるで生きた友達のように扱うといったことをしますか。または、これまでにしたことがありますか。」と事物の擬人化の有無を尋ね、「はい」か「いいえ」で回答を求めた。「はい」と答えた方には「それはどんなものか」「それは何歳から何歳まで続いたか」「それが現れる頻度」を尋ねた。  5)子どもの願望について
 きょうだいが欲しい願望の有無、友達が欲しい願望の有無と尋ねた。具体的には、「お子さまは,きょうだい(年上もしくは年下)がほしいと思っておられますか。既におられるお子さまでも,さらにほしいと思っておられますか。」、「お子さまはもっと友達がほしいと思っておられますか。」とそれぞれの質問に「はい」か「いいえ」で回答を求めた。  6)子どもの想像上の仲間(Imaginary Companion)について
 「幼児期の子どもは、たまに、目に見えない空想の世界だけの仲間を持つことがあります。例えば、アメリカのある3歳の女の子は、ルイ―ザという目に見えない想像上の 仲間を持っていて、家族は夕食のとき、ルイ―ザのために椅子と場所を用意し、寝るときには余分な枕を用意していたという話があります。あなたのお子さまはそのような目に見えない想像上の仲間を持っていますか。または、これまでに持っていたことがありますか。」と想像上の仲間の有無を尋ね、「はい」か「いいえ」で回答を求めた。「はい」と答えた方には「それは何歳から何歳まで続いたか」「それが現れる頻度」「まるで見えているかのように接しているか」「想像上の仲間には(ある特定の)性格があるか」「想像上の仲間が現実には存在しないことを認識しているか」を尋ねた。  7)親の空想傾向について
 空想傾向尺度:岡田・松岡・轟(2004)が作成した空想傾向尺度の2因子(空想の鮮やかさ・子どもの頃の体験)のうち因子負荷量が0.4以上の12項目を使用した。「当てはまらない」〜「当てはまる」の4件法で回答を求めた。  8)親の想像上の仲間について
子どもの想像上の仲間に尋ねたことと同じように尋ねた。  9)想像上の仲間への親の思いについて
「あなたのお子さまが想像上の仲間を持っているとしたら、どのように思いますか。」と尋ね、「誰かに相談しようと思う、そっと見守ろうと思う、おもしろそうだと思う、想像上の仲間に対して恐いと感じる、想像上の仲間に関して特に関心はない」の5項目から自身の思いに最も近い項目を1つ示すよう求めた。

5.質問紙の構成(教師対象)
 子どもの社会的スキルについては、子どもが集団行動をおこなうことの多い場面で発揮されるものと考える。そのため、本研究では、対象となる子どもが通う幼稚園、または保育園の担任教師に子どもの社会的スキルを尋ねることとした。
幼児の社会的スキル尺度:中台・金山(2002)の作成した幼児の社会的スキル尺度における「社会的スキル領域」3因子(主張スキル、自己統制スキル、協調スキル)の12項目と「問題行動領域」3因子(不注意・多動行動、引っ込み思案行動、攻撃行動)の13項目、計2領域6因子25項目を使用した。「全くみられない」〜「非常によくみられる」の5件法で対象幼児を担当されている教師その幼児について回答を求めた。
 


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