6.先延ばし行動類型の検討
6-1.先延ばし行動類型
先延ばし行動の類型を検討するために、Ward法によるクラスター分析を行った。その結果、6つのクラスターを見出した(Figure11)。第1クラスターは、受動的先延ばし行動傾向の「課題先延ばし」得点が高く、“課題先延ばし型”と解釈できる。第2クラスターは、受動的先延ばし行動傾向も積極的先延ばし行動傾向も中程度であり、“中先延ばし行動傾向型”と解釈できる。第3クラスターは、全体的に先延ばし行動傾向が低く、“低先延ばし行動傾向型”と解釈できる。第4クラスターは、受動的先延ばし行動傾向の「課題先延ばし」得点と「約束事の遅延」得点が相対的に高く、“受動的先延ばし行動傾向型”と解釈できる。第5クラスターは全体的に積極的先延ばし行動傾向が高く、“積極的先延ばし行動傾向型”と解釈できる。第6クラスターは、全体的に先延ばし行動傾向が高く、“高先延ばし行動傾向型”と解釈できる。
6-2.先延ばし行動類型の特徴
各クラスターの特徴を検討するために、楽観性および自己効力感の下位尺度得点、評価不安の尺度得点を従属変数、先延ばし行動傾向の6つの類型を独立変数とした1要因6水準の分散分析を行った。その結果は、Table12に示す。まず、楽観性側面の割り切りやすさにおいて、「課題先延ばし型」と「高先延ばし行動傾向型」の間に有意な差がみられた(F(5,133)=3.59, p<.01)。次に、自己効力感の行動の積極性においては、「受動的先延ばし行動傾向型」と「積極的先延ばし行動傾向型」および「高先延ばし行動傾向型」との間にそれぞれ有意な差がみられた(F(5,133)=3.85, p<.01)。そして、自己効力感の失敗に対する不安において、「受動的先延ばし行動傾向型」と「積極的先延ばし行動傾向型」との間に有意な差がみられた(F(5,132)=2.88, p<.05)。さらに、評価不安において、「課題先延ばし型」と「積極的先延ばし行動傾向型」との間に有意な差がみられた(F(5,133)=2.50, p<.05)。
6-3.先延ばし行動類型における相違
各クラスターにおける度数の相違を検討するために、χ^2検定を行ったところ、有意な結果がみられた(χ^2=37.171,df=5,p<.001)。そこで、ライアンの名義水準を用いた多重比較を行った。その結果、課題先延ばし型よりも高先延ばし行動傾向型、中先延ばし行動傾向型よりも積極的先延ばし行動傾向型および高先延ばし行動傾向型、低先延ばし行動傾向型よりも高先延ばし行動傾向型、受動的先延ばし行動傾向型よりも高先延ばし行動傾向型において、有意に度数が少ないことが見出された。
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