5.自己効力感および評価不安の高低における、楽観性が受動的先延ばし行動傾向および積極的先延ばし行動傾向に与える影響の差の検討


 Figure2に示した修正したモデルを用い、自己効力感および評価不安の高低によって、楽観性が受動的先延ばし行動傾向および積極的先延ばし行動傾向に与える影響が異なるかを検討するために、多母集団同時分析を行った。自己効力感の下位尺度である「行動の積極性」、「失敗に対する不安」、「能力の社会的位置づけ」の下位尺度得点、「評価不安」の尺度得点に対し、尺度得点の.500以下を低群、.501以上を高群とした。


5-1.自己効力感の「行動の積極性」高低群の比較

 モデルの適合度指数は、GFI=.987,AGFI=.899,CFI=1.000,RMSEA=0.000であり、 おおむねモデルは適合している。モデルおよび結果をFigure3、Figure4に示す。

 行動の積極性低群においては、楽観性側面の「割り切りやすさ」から積極的先延ばし行動傾向の「プレッシャー管理能力」および「意図的な意志決定」への正の影響、受動的先延ばし行動傾向の「約束事の遅延」から受動的先延ばし行動傾向の「課題先延ばし」への正の影響、積極的先延ばし行動傾向の「プレッシャー管理能力」から積極的先延ばし行動傾向の「締め切りに間に合わせる能力」への正の影響、受動的先延ばし行動傾向の「課題先延ばし」から積極的先延ばし行動傾向の「締め切りに間に合わせる能力」への負の影響が示された。行動の積極性高群においては、受動的先延ばし行動傾向の「約束事の遅延」から受動的先延ばし行動傾向の「課題先延ばし」への正の影響、楽観性側面の「困難の不生起」から積極的先延ばし行動傾向の「意図的な意志決定」への負の影響、積極的先延ばし行動傾向の「プレッシャー管理能力」から積極的先延ばし行動傾向の「締め切りに間に合わせる能力」への正の影響、受動的先延ばし行動傾向の「課題先延ばし」から積極的先延ばし行動傾向の「締め切りに間に合わせる能力」への負の影響が示された。

 また、楽観性側面の「割り切りやすさ」から積極的先延ばし行動傾向の「意図的な意志決定」においては、5%水準で有意なパス係数の差がみられた。








5-2.自己効力感の「失敗に対する不安」高低群の比較

 モデルの適合度指数は、GFI=.988,AGFI=.912,CFI=1.000,RMSEA=0.000であり、十分なモデル適合を示している。モデルおよび結果をFigure5、Figure6に示す。

 失敗に対する不安低群においては、受動的先延ばし行動傾向の「約束事の遅延」から受動的先延ばし行動傾向の「課題先延ばし」への正の影響、楽観性側面の「割り切りやすさ」から積極的先延ばし行動傾向の「意図的な意志決定」への正の影響、積極的先延ばし行動傾向の「プレッシャー管理能力」から積極的先延ばし行動傾向の「締め切りに間に合わせる能力」への正の影響、受動的先延ばし行動傾向の「課題先延ばし」から積極的先延ばし行動傾向の「締め切りに間に合わせる能力」への負の影響がみられた。失敗に対する不安高群においては、楽観性側面の「肯定的期待」から受動的先延ばし行動傾向の「約束事の遅延」への負の影響、楽観性側面の「運の強さ」から受動的先延ばし行動傾向の「課題先延ばし」への正の影響、受動的先延ばし行動傾向の「約束事の遅延」から受動的先延ばし行動傾向の「課題先延ばし」への正の影響、積極的先延ばし行動傾向の「プレッシャー管理能力」から積極的先延ばし行動傾向の「締め切りに間に合わせる能力」への正の影響、受動的先延ばし行動傾向の「課題先延ばし」から積極的先延ばし行動傾向の「締め切りに間に合わせる能力」への負の影響がみられた。

 また、楽観性側面の「肯定的期待」から受動的先延ばし行動傾向の「約束事の遅延」、楽観性側面の「困難の不生起」から受動的先延ばし行動傾向の「課題先延ばし」において、それぞれ5%水準で有意なパス係数の差がみられた。








5-3.自己効力感の「能力の社会的位置づけ」高低群の比較

 モデルの適合度指数は、GFI=.988,AGFI=.906,CFI=1.000,RMSEA=0.000であり、十分なモデル適合を示している。モデルおよび結果をFigure7、Figure8に示す。

 能力の社会的位置づけ低群においては、受動的先延ばし行動傾向の「約束事の遅延」から受動的先延ばし行動傾向の「課題先延ばし」への正の影響、積極的先延ばし行動傾向の「プレッシャー管理能力」から積極的先延ばし行動傾向の「締め切りに間に合わせる能力」への正の影響、受動的先延ばし行動傾向の「課題先延ばし」から積極的先延ばし行動傾向の「締め切りに間に合わせる能力」への負の影響がみられた。能力の社会的位置づけ高群においては、楽観性側面の「割り切りやすさ」から受動的先延ばし行動傾向の「約束事の遅延」および積極的先延ばし行動傾向の「プレッシャー管理能力」への正の影響、受動的先延ばし行動傾向の「約束事の遅延」から受動的先延ばし行動傾向の「課題先延ばし」への正の影響、積極的先延ばし行動傾向の「プレッシャー管理能力」から積極的先延ばし行動傾向の「締め切りに間に合わせる能力」への正の影響、受動的先延ばし行動傾向の「課題先延ばし」および「約束事の遅延」から積極的先延ばし行動傾向の「締め切りに間に合わせる能力」への負の影響がみられた。

 また、楽観性側面の「割り切りやすさ」から受動的先延ばし行動傾向の「約束事の遅延」および積極的先延ばし行動傾向の「プレッシャー管理能力」、積極的先延ばし行動傾向の「プレッシャー管理能力」から積極的先延ばし行動傾向の「締め切りに間に合わせる能力」において、それぞれ5%水準で有意なパス係数の差がみられた。








5-4.評価不安高低群の比較

 モデルの適合度指数は、GFI=.983,AGFI=.870,CFI=1.000,RMSEA=0.000であり、おおむねモデルは適合している。モデルおよび結果をFigure9、Figure10に示す。

 評価不安低群においては、楽観性側面の「割り切りやすさ」から受動的先延ばし行動傾向の「約束事の遅延」および積極的先延ばし行動傾向の「プレッシャー管理能力」への正の影響、楽観性側面の「肯定的期待」から受動的先延ばし行動傾向の「約束事の遅延」への負の影響、楽観性側面の「困難の不生起」から積極的先延ばし行動傾向の「プレッシャー管理能力」への負の影響、楽観性側面の「運の強さ」から受動的先延ばし行動傾向の「課題先延ばし」および積極的先延ばし行動傾向の「プレッシャー管理能力」への正の影響、受動的先延ばし行動傾向の「約束事の遅延」から受動的先延ばし行動傾向の「課題先延ばし」への正の影響、積極的先延ばし行動傾向の「プレッシャー管理能力」から積極的先延ばし行動傾向の「締め切りに間に合わせる能力」への正の影響、受動的先延ばし行動傾向の「課題先延ばし」から積極的先延ばし行動傾向の「締め切りに間に合わせる能力」への負の影響がみられた。評価不安高群においては、受動的先延ばし行動傾向の「約束事の遅延」から受動的先延ばし行動傾向の「課題先延ばし」への正の影響、楽観性側面の「割り切りやすさ」から積極的先延ばし行動傾向の「意図的な意志決定」への正の影響、積極的先延ばし行動傾向の「プレッシャー管理能力」から積極的先延ばし行動傾向の「締め切りに間に合わせる能力」への正の影響、受動的先延ばし行動傾向の「課題先延ばし」から積極的先延ばし行動傾向の「プレッシャー管理能力」への負の影響がみられた。

 また、楽観性側面の「肯定的期待」から受動的先延ばし行動傾向の「約束事の遅延」、楽観性側面の「割り切りやすさ」から積極的先延ばし行動傾向の「意図的な意志決定」において、それぞれ5%水準で有意なパス係数の差がみられた。












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