4.過剰適応と学校適応感、ストレス反応との関連
中学生において過剰適応が影響を及ぼす要因の1つとして、ストレス反応や学校適応感が挙げられる。石津・安保(2008)では、中学生の過剰適応傾向とストレス反応、学校適応感との関連の検討を行っている。この検討の結果、過剰適応の内的側面は学校適応感には負の影響を与え、かつストレス反応を増大させることが示された。一方、過剰適応の外的側面はストレス反応と学校適応感共に正の影響を与えることが明らかにされている。後者においてストレス反応と学校適応感共に正の影響を与えるのは、過剰適応が適応的に作用する場合と非適応的に作用する場合があるためであると述べている。
この研究により、学校適応感とストレス反応は互いに負の相関が想定される概念であるが、過剰適応の場合は必ずしも負の相関が起こるわけではないことが示唆された。
また加藤・神山・佐藤(2011)は、過剰適応傾向の中学生が示しやすいストレス反応の特徴を検討し、過剰適応傾向の高い生徒は「抑うつ」から「内在化反応」、やがて「身体症状」へ至るパターンをとる可能性が高いとしている。このように、過剰適応とストレス反応・学校適応感は深く関連することが複数の研究によって示されている。よって、本研究では過剰適応が影響を及ぼすストレス反応と学校適応感を基にして検討を行う。
5.本研究の目的
以上のことから、本研究では過剰適応傾向が影響を与えるストレス反応と学校適応感を基に、中学生を対象として特性としての過剰適応傾向と状態としての過剰適応傾向に分類できるかの検討を行うことを目的とする。その際、特性としての過剰適応傾向と状態としての過剰適応傾向それぞれの特徴も検討していく。
6.本研究の仮説
以下の仮説1・2を本研究の仮説とする。
仮説1. 特性としての過剰適応傾向は、特性が変化しない限り環境の変化に関わらずどの場面においても過剰適応傾向の程度が高く、ストレスを感じやすい。
仮説2. 状態としての過剰適応傾向は場面により過剰適応傾向の程度が異なり、ストレスの程度も異なる。
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