【問題と目的】
6.特性不安・孤独感との関連
前節で,過剰適応傾向について議論を行ったが,LINE携帯のサービスが現れる前には,携帯メールを対象とした先行研究において,孤独感に着目した研究が数多く報告されている。たとえば,山近・谷口・大坊(2002)や谷口(2004)によって,携帯メールの送信数と孤独感の間に関連が見られないことなどが明らかにされている。本研究では携帯メールに変わる新たなコミュニケーションツールとしてLINEを取り上げているが,既読表示をはじめとしてこれまでの携帯メールには無い特徴を備えていることから,LINE利用時の感情と孤独感との関連について改めて検討する。
さらに,前節で述べたように,本研究では返信をしない時の感情を「自分が既読無視をすることで相手から嫌われること,相手が不信感抱くことに対する不安」と想定した。そこで,LINE利用時の感情と,不安との関連についても検討する。また,本研究では,メッセージの内容やコミュニケーションの対象による違いではなく,全般的なLINE利用時の感情と,そこに関連する個人の特性に着目した。そこで,不安の中でも,個人が元々抱いている特性不安との関連について検討する。