仮説



 Bartholomew & Horowitz (1991) の2次元4分類モデルでは、安定型は自己観と他者観がともにポジティブなスタイル、拒絶型は自己観がポジティブで他者観がネガティブなスタイル、とらわれ型は自己観がネガティブで他者観がポジティブなスタイル、恐れ型は自己観と他者観がともにネガティブなスタイルである。

 また、Brennan et al. (1998) の見捨てられ不安と親密性の回避は、それぞれBartholomew & Horowitz (1991) の自己観、他者観と対応している。愛着スタイルと自己概念との関連を検討した、Mikulincer (1995) の研究から、安定型、回避型はアンビヴァレント型より肯定的な自己概念をもっており、さらに、安定型はバランスのとれた複雑な、一貫した自己構造をもつことが明らかにされている。公的・私的自己意識に関しての先行研究では、私的自己意識の高い人は、態度と行動の一貫性が高く (Scheier, 1980)、公的自意識の高い人は、他者からの評価的態度に敏感である (Fenigstein, 1979) ことが示されている。

 また、3類型の愛着スタイルと、2次元4分類の愛着スタイルの対応関係は、自己観、他者観がともにポジティブな安定型は、3類型の安定型と、自己観がネガティブなとらわれ型や恐れ型は3類型のアンビヴァレント型と、他者観がネガティブな拒絶型や恐れ型は3類型の回避型と、それぞれ対応関係があると示されている(Brennan, Shaver & Tobey, 1991; 中尾・加藤, 2003)。以上の先行研究から、以下の仮説が導き出される。


1. 愛着スタイル安定型、拒絶型は自己観がポジティブであり、肯定的な自己概念をもっていることが示唆されているため、とらわれ型や恐れ型に比べ、自己を平均以上であると捉えているだろう。

2. 愛着スタイルとらわれ型は、自己観がネガティブで他者観がポジティブであり、他者からの評価的態度に敏感であると示唆されるので、公的自己意識が強いだろう。

3. 愛着スタイル安定型は、バランスのとれた複雑な、一貫した自己概念をもっていることが示唆されているため、私的自己意識が強いだろう。



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