7.本研究の目的
家族成員間の関係や家庭の雰囲気は子どもの精神的健康に影響を及ぼし,対人関係におけるスキルを成長させる上で基盤となるものである。家族が健康であるためには夫婦関係が良好であることが重要であり,そしてその夫婦関係の良好さ,すなわち夫婦関係の質は,子どもにとっては実際の夫婦関係がどうであるかよりも子どもからみた夫婦関係の質が精神的健康や対人関係におけるスキルに影響を及ぼすと考える。
本研究では,子どもが認知する両親のコミットメントが子どもの笑いに対する意識及び社会的スキルに及ぼす影響について検討することを目的とする。両親の関係が良好であることは家族の凝集性やコミュニケーションを促進する基盤となり,更に普段からコミュニケーションをとっている青年の方が親と一緒にいるときに笑う傾向にある(斎藤,2013)ことから,家族関係は子どもの笑いに影響を及ぼすと考える。更に家族システムの安定は子どもの社会的スキルに影響を与えることが示唆されており(井村・石田,2013),家族システムの安定は子どもの発言抑制と関連がみられる(井村・石田,2012)ことから,発言に着目した蔭山(2009)のアサーションと関連が見られることが予想される。社会的スキルとしての作り笑いおよびアサーションは自己呈示や自己主張といった他者への積極的な働きかけという共通の側面をもっていると考える。
以上より,子どもが認知する両親のコミットメントが子どもの笑いに対する意識及び,社会的スキルとしての作り笑い及びアサーションに及ぼす影響について検討することを目的とする。
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