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考察



 本研究の目的は、テスト不安をコントロールする要因として学習方略に着目し、 テスト不安を規定する要因として、テスト観にも焦点を当て、学習方略とテスト不安の継時的変化の関係を明らかにすることであった。

1.テスト3週間前の尺度間相関からの考察


 各下位尺度間の相関を検討した結果、「テスト不安」と「柔軟的方略」「プランニング方略」「暗記反復方略」「意味理解方略」「社会的方略」との間で正の相関がみられた。 「逃避方略」以外の方略と正の相関がみられたことにより、テスト不安の高い生徒はテストへの対策として様々な方略を選択・使用することが 明らかになった。これは、三浦ら(1997)が、テスト不安の高い生徒は低い生徒に比べて中間考査に対する脅威感とともに、 どうにかしようといった前向きな考え方も強く抱く傾向にあり、中間考査に対する意識が高いことを明らかにしていることと繋がる。 また、伊藤・神藤(2003a)の、試験1か月前の学習時における不安感が高いものほど、試験1週間前に内発的、外発的どちらも含めた 自己動機づけ学習方略をよく用いるという結果を支持しているといえる。