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結果



2.尺度構成の検討


2-1.テスト状態不安
 テストが近づくにつれて変化する不安に関する思考のうち、「テストのことを考えると、あれこれと気になり勉強が手につかない」 「なるべくテストのことを考えないようにしている」という項目への回答はテストから逃げようとする思考を反映していると考え、 これらの項目への回答を足し合わせ「テスト状態不安無視」とし、「テストのことを考えると、心配でどれだけ勉強しても 足りないのではと思う」「テストに向けて、いっときも休まずに勉強しなければと思う」という項目への回答はテストに対して 対処しなければいけないとする思考を反映していると考え、これらの項目への回答を足し合わせ「テスト状態不安対処」とし、 「テストが楽しみである」「これだけ勉強したら結果がついてくるというイメージを持って勉強している」「はやくテストで実力を 試したくてワクワクしている」「テストに対して、心配せずにゆったりとした気持ちで構えている」という項目への回答はテストに 対するポジティブな思考を反映していると考え、これらの項目への回答を足し合わせ「テスト状態不安ポジ」とする。同じ項目で テスト3週間前、テスト1週間前、テスト返却後に測定し、テスト返却後は3月の学年末テストについて回答を求め、テスト3週間前は 「テスト状態不安3週間前」、テスト1週間前は「テスト状態不安1週間前」、テスト返却後は「テスト状態不安返却後」とし、 同様の定義とする。

 まず、「テスト状態不安3週間前無視」「テスト状態不安3週間前対処」の項目ごとの相関係数を算出した。 「テスト状態不安3週間前無視」(r=.39;p<.01)、「テスト状態不安3週間前対処」(r=.57;p<.01)でそれぞれ有意な 正の相関がみられた。また、「テスト状態不安3週間前ポジ」はCronbachのα係数を算出した結果、α=.80であった。

 次に、「テスト状態不安1週間前無視」「テスト状態不安1週間前対処」の項目ごとの相関係数を算出した。 「テスト状態不安1週間前無視」(r=.42;p<.01)、「テスト状態不安1週間前対処」(r=.31;p<.01)でそれぞれ有意な 正の相関がみられた。また、「テスト状態不安1週間前ポジ」はCronbachのα係数を算出した結果、α=.81であった。

 最後に、「テスト状態不安返却後無視」「テスト状態不安返却後対処」の項目ごとの相関係数を算出した。 「テスト状態不安返却後無視」(r=.57;p<.01)、「テスト状態不安返却後対処」(r=.23;p<.05)でそれぞれ有意な 正の相関がみられた。また、「テスト状態不安返却後ポジ」はCronbachのα係数を算出した結果、α=.77であった。


2-2.特性不安
 逆転項目を修正し、Cronbachのα係数を算出した結果、α=.59と充分な値が得られなかった。 そのため「平静・沈着で落ち着いている」という項目を減らし、4項目にしてα係数を算出した結果、 α=.63であったため、以降の分析は4項目で行うこととした。


2-3.テスト不安
 先行研究では「情動性」「懸念」の2つの因子から成る尺度であったが、主因子法で因子分析を行った結果、 固有値1を越える因子数が1つしかなく、2因子に分かれなかったため、以降の分析では1因子の尺度として扱う。 そこで全ての項目を用いて尺度構成を行い、Cronbachのα係数を算出した結果、α=.91と充分な値がみられた。


2-4.テスト観
 Cronbachのα係数を算出した結果、「改善」でα=.83、「強制」でα=.69、「誘導」でα=.63、 「比較」でα=.90であった。また、「改善」「強制」「誘導」「比較」の各下位尺度の項目ごとに相関係数を算出した。 「改善」(r=.71;p<.01)、「強制」(r=.52;p<.01)、「誘導」(r=.46;p<.01)、「比較」(r=.82;p<.01)でそれぞれ有意な 正の相関がみられた。


2-5.学習方略
 Cronbachのα係数を算出した結果、「柔軟的方略」でα=.68、「プランニング方略」α=.52、 「暗記・反復」α=.75、「意味理解」α=.74、「社会的方略」α=.73、「逃避方略」でα=.67であった。 「プランニング方略」は充分な値が得られなかったが、項目を削ることができなかったため、以降の分析も当初の3項目で 行うこととした。また、「逃避方略」の項目の相関係数を算出したところ、有意な正の相関(r=.50;p<.01)がみられた。


2-6.テスト結果不安
 「いい結果であるかどうか気になる」「自分の解答があっているのか気になる」「他の人の出来が気になる」 という3項目への回答を、自分や他の人の結果を気にする「結果不安懸念」とし、Cronbachのα係数を算出した結果、 α=.75であった。「テスト問題や自分の解答を思い出さないようにしている」という項目と「テストは終わったので、 落ち着いた気持ちで結果を待っている」という項目の相関係数を算出したところ、有意な相関が見られなかったため、 以降の分析では「テスト問題や自分の解答を思い出さないようにしている」という項目を、テストの結果から逃げたいとする 思考を反映していると考え「結果不安逃避」とし、「テストは終わったので、落ち着いた気持ちで結果を待っている」という項目を、 テストの結果をポジティブに待とうとする思考を反映していると考え「結果不安ポジ」とし、それぞれ別のものとして扱う。