8. “キャラ”の切り替えの程度による差異の検討
さらに,キャラ切り替え有群の中でも,「キャラカテゴリを超えて切り替え」をする者と「キャラカテゴリ内での切り替え」にとどまる者とがいたことから,各下位尺度におけるキャラ切り替えの程度による差を検討するため,t検定を行った。
その結果,変化動機の「関係維持」と「演技隠蔽」において有意な差が認められ,いずれもキャラカテゴリを超えた切り替えを行う者の方が,キャラカテゴリ内の切り替えを行うものよりも得点が高かった。キャラカテゴリを超えた切り替えを行う者は,あるグループでは,友人関係の役割として“キャラ”を用いる一方で,あるグループでは,当人の性格特性の“キャラ”を用いるということであり,よりその場の状況や人間関係に合わせて,もともとの性格的な“キャラ”を表出するのか,役割としての“キャラ”を用いるのかを使い分けていると考えられる。そのため,相手との関係を維持するための動機である「関係維持」や,意識的な変化の動機である「演技隠蔽」との間に関係がみられたのではないかと考える。このことから,仮説3は一部支持されたといえる。
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