1.はじめに


 我々は誰もが社会生活の中で他者との関わりを持ち,その生活の中で自分の居心地のよい空間を探すだろう。大学生活では家庭やクラス等に加えて,アルバイトやサークル活動など活動範囲が広がるため,居場所となりうる場所の数も増えていくと考えられる。筆者は自身のアルバイト経験やサークル活動・周囲との人間関係を通して,自分らしくいられる場所とそうでない場所,居心地の良い空間とそうでない空間があることを実感している。
 
 また,居場所となりうる環境やコミュニティは様々であり,食事に行ったり遊びに出かけたりする個人友人に加え,複数人で構成された“グループ”も多くある。そして,そのグループにも少人数のグループや大人数のグループが存在する。筆者は,自身のサークル活動においてサークル全体の活動時間に加え,同学年で話し合ったり活動したりする時間,同学年の中でもさらに担当する班に分かれて活動する時間等の経験をしてきた。それらは,構成されるメンバーや人数が異なっており,それぞれの場での自分の感じ方や気の遣い方には少し違いがあったように感じている。例えば,友人と一対一で話していたことが,10人程度の複数人団体となると話しづらくなったり,周りの友人のなかにも複数人での話し合い場面等では意見を言わない者がいたりした。反対に,複数人の団体全体での活動は楽しく盛り上がりを見せるのに,そのメンバーとそれぞれ一対一になると話す内容に困るというような場面もあった。このように,我々は様々な他者との関わりを持っているが,その中でも居心地の良し悪しなどは異なっており,居場所として自分が心地よく感じられるかどうかはその相手や集団によって変わってくる。
 



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