考察


  本研究では,大学生の友人関係に着目し,一対一で付き合いのある個人友人と,複数人で付き合いのある友人集団それぞれの心理的居場所感を測定し,主観的幸福感,つまりwell-beingとの関連を調べた。個人友人と友人集団で心理的居場所感の高低に差はあるのか,また,その心理的居場所感の高低によって,主観的幸福感に差はあるのか。想定した友人との関係や友人集団の人数によって差があるのかを検討することを目的とした。

 この目的をふまえ,本研究で立てられた仮説は以下の5つであった。
仮説1:個人と集団の両方で心理的居場所感を高く獲得している者は,片方もしくはどちらも低く獲得している者に比べてwell-being が高い。
仮説2:個人の友人関係における心理的居場所感よりも友人集団の関わりにおける心理的居場所感の方がwell-beingとの関連が強い。
仮説3:個人友人と友人集団それぞれにおいて,部活動・サークルでの友人関係が他の友人関係よりも心理的居場所感を高く感じやすい。
仮説4:友人集団の構成人数が多いほど,心理的居場所感を高く感じやすい。
仮説5:個人友人と友人集団それぞれにおいて,学部・学科の友人関係での心理的場所感の獲得が部活動・サークルの友人関係での心理的居場所感の獲得よりも
well-beingを高めることに影響する。



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