8.自己呈示に関わる被服行動と被服によって呈示したい自己における私的自己意識高群・低群間の差について
「私的自己意識」の高群は,『装いにおける社会儀礼志向』・『装いにおけるジェンダー志向』・『装いにおける個性志向』・《賢くてまじめな自分》・《かわいくて女らしい自分》において,低群よりも得点が高い結果が示された。
この結果は,公的自己意識の高低群間の差の結果と同じような結果であるが,私的自己意識における自己内省的な意識が自身の被服行動と関連があることを示すものであった。たとえばジェンダー志向についていえば,自身のジェンダーに関わる意識は内省的な意識であり,また個性志向についても他者を意識することと同時に自身を強く押し出すこととの関連も強いと考えられる。こういった意識と自己呈示的な被服行動との関連がここに現れているといえるだろう。加えてもともと,「公的自己意識」と「私的自己意識」にはr=.532 ; p<.01の比較的強い相関がみられたことから,本研究のデータ自体からはそのような結果となったと考えられる。
←back