1.将来の夢
1-1. 将来の夢とは
人は、将来自分がどのようになるかを想像し、自分の未来の姿を思い描く。その未来の姿になりたいと思い様々なことを目指す。この自分のなりたい姿を人は、「将来の夢」として思い描く。大辞林第三版(2006)によると、夢は「将来実現させたいと心の中に思い描いている願い」のことであり、睡眠中の夢などと区別して「将来の夢」と呼ばれる。
将来の夢は大人から子どもまで、誰もが見ることのできるものであり、その種類は様々である。特に、小学生などの将来の夢は毎年のように調査が行われている。小学生の将来の夢としては主に職業が挙げられることが多く、日本FP協会(2017)は第10回「小学生『夢をかなえる』作文コンクール」を実施し、職業に分類した集計結果を公表している。その結果では、男子児童の将来の夢について、サッカー選手や野球選手、医者やゲーム制作関連の仕事などが上位に挙げられている。女子児童の将来の夢について、保育士、医師、パティシエール、看護師や薬剤師などが上位に挙げられている。このように小学生は様々な将来の夢を見ていることがわかる。更に将来の夢はその時代に合わせて変化しており、男子児童の14位に近年新たな仕事として確立されてきた、YouTubeに出演してお金を稼ぐ、ユーチューバーがランクインした。こういった時代の流れが影響した将来の夢は、現実として将来の夢を捉えているのかどうかが分からなくなるが、富田(2004)は幼児対象に将来の夢をどの程度現実のものとして考えているかという調査を行った。結果、年長にもなると、将来の夢を現実になれるものとして捉えているという結果を出している。このことから、将来の夢はどんなものであっても、自分がなれる、なりたいと感じているものを描いていることがわかる。また、中高生の将来の夢をアンケート調査などによって調べている「13歳のハローワーク」公式サイト(2017)では、プロスポーツ選手、金融業界、医師、看護師、薬剤師、ゲームクリエイターなどが並ぶ。このように将来の夢は年代別に差がある。更に、飛永(2007)は、思春期と青年期における、子どもの未来への展望についてどのくらい発達が進んでいるかを比較した研究において、小学5・6年生より、中学1・2年生、高校1・2年生の方がより現実的な将来に対する希望、展望を持つことを示しており、小学生が持つ将来に対するイメージは現実性が低いことを指摘している。小学生が将来の夢を考えることについて、どういった意味があるのだろうか。
next→