1. 各教師の認知について


1-1. 教師用RCRT(A教師)

 A教師がどのような視点から子どもたちを捉えているかということを明らかにするために,教師用RCRTを用いた分析を行った。教師用RCRTの結果を因子分析(主因子法・プロマックス回転)したところ,2つの因子が抽出され,A教師は2つの視点でZクラスの子どもたちを捉えていることがわかった(Table2)。

 第1因子は,「自立している・他人に頼っている」,「思慮深い・短絡的」,「周りをよく見ている・自己中心的」の3項目から構成された。この結果をA教師に示し,因子名をつけてもらったところ,「視野が広い・狭い」と名付けられた。A教師は「視野が広いか狭いか」で子どもたちを見ていることがわかった。
 第2因子は,「反抗的・従順」,「計画的・無計画」,「わがまま・思いやりがある」の3項目から構成された。同様にしてA教師に因子名をつけてもらったところ,「自己中心的・自己中心的ではない」と名付けられた。A教師は「自己中心的か自己中心的ではないか」で子どもたちを見ていることがわかった。

 A教師のZクラスの子どもたちを見ている視点を示すために,X軸に第1因子「視野が広い・狭い」,Y軸に第2因子「自己中心的・自己中心的ではない」をとり,それぞれの因子得点を基にZクラスの生徒をプロットした(Figure1)。なお,指導が難しいと感じる生徒を「難しい」,指導が難しいと感じない生徒を「難しくない」として示した。この図より,A教師は視野が狭く,自己中心的と捉えている生徒に対して指導が難しいと感じている傾向にあることがわかる。 



  





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