【研究1】
1.調査対象
小学校道徳科の検定教科書(光村図書出版・光文書院・学研教育みらいの3社)より,検定教科書教科書本文と,検定教科書に記載されている発問を対象とした。検定教科書より3社をピックアップした理由は,次の通りである。まず,三重県で採択されている道徳の検定教科書の中から,まず津市で採択されている学研教育みらいと,県内で最も採択率の高かった光文書院を選定した。次に,読み物を扱うという点において,道徳教育と近しい国語教育において,最も県内の採択率が高い光村図書出版を選択した。
分析範囲は家族愛を扱っている単元(全26個)の本文・発問とし,対象学年は1〜6年生で設定した。
2.調査時期
2018年4月〜2019年1月
3.手続き
3−1.使用する手続きについて
検定教科書教科書本文は,テキストマイニングの手法をとり,KH Coder 3 を用いて本文の分析を行った。検定教科書に記載されている発問については,KJ法を用いて,各発問をカテゴリー別に整理した。
3−2.テキストマイニングについて
テキストマイニングとは,テキスト型データにおける分析のことである。樋口(2004)は,テキスト型データの分析について,統計処理を行うために「何らかの形でデータをコード化」することが第一の課題になると述べている。このコード化作業について,樋口(2004)は客観性や基準の確保の点から,コンピュータを使用する利点について言及している。本研究で使用したKH Coderは,樋口が作成した,テキスト型データの統計処理を行うための分析システムで,分析過程で特定の語に対し,どのような文脈でつながっていたかを個別に確認することも可能である。