3.ほめられる場面と相手の立場・親しさによって生起する感情について


3-2 否定的感情について

   否定的感情について3要因分散分析を行ったところ,球面性の仮定が棄却されたため,Greenhouse-Geisserの方法による検定を行った。

 その結果,2次の主効果は有意にならなかった(F(1.922,184.539)= .144, n.s.)が,1次の交互作用として,立場と親しさの交互作用が有意になり(F(1.922,184.539)= 7.510,p< .01),場面の主効果と立場の主効果,親しさの主効果がともに有意であった(F(1.000,96.000)= 1.796, p< 0.5 ; F(1.882,180.706)= 21.168, p< .001; F(1.000,96.000)= 155.293, p< .01)(Table9)。

 1次の交互作用が有意になったため,単純主効果の検定を行った。その結果,親しさにおける立場の単純主効果については,親しい相手のときの立場の主効果,および親しくない相手のときの立場の主効果がともに有意になった(F(2,192)= 5.07,p< 0.1 ; F(2,192)= 22.01, p< .001)。また,立場における親しさの単純主効果については,同級生の親しさの主効果,先輩の親しさの主効果,後輩の親しさの主効果がいずれも有意になった(F(1,96)= 102.51,p< .001 ; F(1,96)= 122.93, p< .001 ; F(1,96)= 64.56, p< .001)。立場の3水準についてBonferroniの方法による多重比較を行ったところ,親しい相手においては,先輩,同級生,後輩の順に否定的感情得点が高くなった。



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