3.ほめられる場面と相手の立場・親しさによって生起する感情について


3-1 肯定的感情について

  肯定的感情においては,2次の交互作用が有意であり(F(2,192)= 4.275, p<.05),立場と親しさの交互作用が有意になった(F(2,192)= 5.398, p<.01)。また,場面の主効果と立場の主効果はともに有意にならなかった(F(1,96)= 2.177, n.s.; F(2,192)= 1.789, n.s.)が,親しさの主効果が有意であった(F(1,96)= 111.072, p< .001)(Table8)。

2次の交互作用が有意であったため,単純交互作用の検定を行った。分析の結果,親しくない相手における場面と立場の単純交互作用,および性格をほめられた場面における立場と親しさの単純交互作用が有意であった(F(2,192)= 3.66, p< .05;F(2,192)= 9.98, p< .01;Figure5,8参照)ので,単純・単純主効果の検定を行った。

まず,親しくない相手における場面と立場の単純・単純主効果を検定したところ,性格をほめられた場面と同級生・性格をほめられた場面と先輩・性格をほめられた場面と後輩・努力をほめられた場面と同級生・努力をほめられた場面と先輩・努力をほめられた場面と後輩がいずれも有意になった(F(1,96)= 49.52, p< .001;F(1,96)= 65.52, p< .001;F(1,96)= 13.82, p< .001;F(1,96)= 29.40, p< .001;F(1,96)= 39.78, p< .001;F(1,96)= 33.52, p< .001)。立場の3水準に対してBonferroniの方法による多重比較を行ったところ,性格をほめられた場面においては先輩,同級生,後輩の順に肯定的感情得点が大きくなった。場面の2水準を比較すると,同級生・先輩・後輩のいずれの立場からのほめでも,性格をほめられた場面よりも努力をほめられた場面のほうが肯定的感情得点が大きくなった。

次に,性格をほめられた場面における立場と親しさの単純・単純主効果の検定を行ったところ,いずれの主効果も有意にならなかった。



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