考察


 本研究では,大学生の部活・サークルにおける“世代交代”に焦点を当てながら,大学で所属しているあるいは所属していた部活・サークルにおいて,世代交代を経て役割の有無が個人の自尊感情にどのように影響を与えるのか,また他者志向的動機の高低,個人の持つ向上心に関する特性の高低によって自尊感情への影響の仕方に変化はあるのか,さらにどのような役割を与えられるかによっても自尊感情の変化の仕方に影響があるのかについて検討した。

 本研究においては,以下の仮説を立てた。
仮説1:サークル・部活に所属している人は,世代交代前から世代交代後にかけて,自尊感情が高くなることが予想される。
仮説2:役割がある人は,世代交代前から世代交代後にかけて,自尊感情が高くなることが予想される。
仮説3:他者志向的動機が高く,世代交代を経て役割がある人は,役割がない人に比べて世代交代前から世代交代後にかけて,自尊感情が高くなることが予想される。
仮説4:他者志向的動機が低く,世代交代を経て役割がある人は,役割がない人に比べて世代交代前から世代交代後にかけて,自尊感情が高くなることが予想される。ただし,他者志向的動機が高い人よりも上昇の幅は小さくなるだろう。
仮説5:「意欲」が高く,世代交代を経て役割がある人は世代交代前から世代交代後にかけて,自尊感情が高くなることが予想される。
仮説6:「やる気」が高く,世代交代を経て役割がある人は,世代交代前から世代交代後にかけて,自尊感情が高くなることが予想される。
仮説7:「負けん気」が高く,世代交代を経て役割がない人は,世代交代前から世代交代後にかけて,自尊感情が低くなることが予想される。
仮説8:幹部系の役割,特に代表の役割を与えられた人は,世代交代前から世代交代後にかけて,自尊感情が高くなることが予想される。



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