1. 部活・サークルが与える効果


1-1.部活・サークルの所属率と世代交代の時期について

 新井・松井(2003)は,大学生の多くはサークル集団に所属し,大学生活の充実感にはサークル集団への所属が,時には学業以上に大きな役割を果たしている。また,大学生は,趣味やスポーツに関連したサークル本来の活動だけでなく,人間関係を求めてサークルに参加していると述べている。このように,大学生は様々な目的を持って集団に所属しており,サークルなどの集団に所属することはプラスの効果を持っていると考えられる。ベネッセ(ベネッセ教育総合研究所,2014)が大学1〜4年生を対象に行った調査によると,部活・サークルに所属しているあるいはしていたのは71.5%であった。そのうち,「以前は参加していたがやめた」が22.5%であった。この結果から,多くの大学生が部活やサークルへの所属経験があることがわかる。また,そうした中で世代交代は大体いつ頃行われているのだろうか。世代交代が行われる学年は,大学2年から大学3年,大学3年から大学4年にかけてであることが多いようだが,その学年のどの時期であるかは,その集団によって様々である。時期として多いのは,その集団にとって一番大きなイベントの終了後のようである。例えば,合唱部であれば「〇〇大会」のようなその集団にとって一番大きな大会,よさこいであれば「〇〇祭り」の後など,その集団内での世代交代の時期は基本的に固定されているが,集団によって世代交代の時期は異なっているようだ。

 こうした世代交代に伴い,その集団を主に率いていく学年となると,役割が与えられることがある。役割が与えられるということは,その集団にとって必要不可欠な存在となることができるため,そうした役割の有無が,「自分自身に価値がある」と感じる自尊感情に影響を与えるのではないかと考えられる。



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