2. 自尊感情について


2-1.“自尊感情”の定義

 まず,自尊感情がどのように定義されるのか,その概念について見ていく。Rosenberg(1965)によれば,“自尊感情”とは「自己に対する肯定的または否定的な態度」と定義されている。さらに,東京都教育委員会によると,「自分のできることできないことなどすべての要素を包括した意味での『自分』を他者とのかかわり合いを通してかけがえのない存在,価値ある存在としてとらえる気持ち」といった定義もある(東京都教職員研修センター,2011)。

 これらのことを踏まえて本研究では,大学生が所属する集団内における“自尊感情”を「他者から必要とされている存在である,自分自身を価値ある存在としてとらえる気持ち」と定義することとする。

2-2.大学生の自尊感情の変化

 広田・望月(2008)は,現代の大学生にとっては,自らの対人能力や交際範囲,自分の性格が他者と比較して劣っていると感じることや,学歴,経済状況での劣等性が自尊感情を低下させる一因となっていることを示唆している。このことからも,役割を与えられることによって「自分の能力を認められている」と感じ,自尊感情が高まったり,反対に役割を与えられないことで,「自分は役割を与えられた友人よりも劣っている」と感じ,自尊感情が低くなることが考えられる。



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