1.各期の概要
ダウン症は自閉症などと比較すると,出生直後から子どもの障害について向き合わざるを得ないと考える。ダウン症児の母親は,産後から数年以内に大きく心情が変化することが予想される。よって,本研究では,障害のある子どもの母親の心情をより具体的に検討するために,障害のある子どもの母親の人生経路を7期に分けて捉えた。
第1期(出生以降)では,出生後の子どもの様子について疑問を感じる母親の姿が見られた。第2期(診断名告知以降)では,“ダウン症”という診断名を宣告されたことによる失望感が語りの中で得られた。第3期(施設入所以降)では,周囲の人々との交流が母親の気持ちをプラスにもマイナスにも影響を与えていた。第4期(保育園入園以降)では,子どもが集団に入ることによる母親の苦戦が存在した。第5期(小学校入学以降)では,教員の力量が母親の気持ちの支えに関係していた。第6期(中学校入学以降)では,卒業後の進路について心配する母親の焦りがみられた。第7期(高校卒業以降)では,子どもの将来に対する新たな不安を母親は感じていた。
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